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【受賞・書籍化】悪役騎士、俺。 ~悪役令嬢を助けたら、なぜか国を建てることになった件~  作者: 九條葉月


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攻略開始



 油断しまくりな師匠と、強者の余裕漂わせまくりな(ある意味油断しまくっている)シルシュが転移させられたあと。


 なんだか白けた雰囲気に包まれるダンジョンだが、こういうときは俺が仕切らなきゃいけないか……。


「ミラ、あの二人がどこに行ったか分かるか?」


「ん。……探知できない。そもそも一回きりの使い切りみたい」


「ほぉ……」


 なんでも転移先とまだ繋がっているなら魔力を辿って場所を探ることもできるのだが、使い切りなのでそのまま消滅。探知もできないらしい。俺は魔法に詳しくないのでよく分からないが、ミラが言うならそうなのだろう。


「探知魔法で探すことも可能。あのときお兄ちゃんを探したみたいに」


 そういえば、俺が転移魔法でシルシュのいる地下洞窟に移動したあと、ミラが探知魔法で探してくれたのだと教えられた。それを師匠とシルシュにもやるつもりなのだろう。


「うーむ……」


 正直、あの二人ならそこまでして探さなくても平気じゃないか? 物語でのよくある展開として、ダンジョンボスの下へ強制転移されたとしても……あの二人なら瞬時にボコれるだろうし。


「……そもそもまだダンジョンの中だからな。魔力消費はなるべく抑えるべきだろう」


「ん。わかった」


 素直に頷くミラ。彼女も「あの二人なら平気」だと思っているのだろう。


 さて。これからどうするかだが。


「俺は撤退するべきだと思う」


 片手を上げて意見を述べる俺。


「賛成だ。一旦ダンジョンから抜け出して安全を確保。そのあと団長とシルシュ嬢を『探知』するべきだろう」


 俺の意見にラックも賛同した。


「そうですね。無理にダンジョンを攻略する理由もありませんし」


「ん」


「わたくしはラック様の判断に従いますわ」


 メイス、ミラ、エリザベス嬢も続々と賛成する中。


「……せっかくダンジョン初体験なのにぃ~」


 無念そうな声を上げるシャルロットだった。年頃の貴族令嬢が『初体験』とか言っちゃいけません。


 まぁでも反対するというよりも拗ねているという感じなのでシャルロットも本気でダンジョン攻略を続けたいわけではないのだろう。


「はいはい。準備が整ったらまた攻略に来ればいいだろう?」


「! そうだね! また今度ダンジョン攻略(デート)に来ればいいよね!」


 なんか、妙な副音声が聞こえたような? 気のせいか?


「ま、まぁいいか。まだ階層も低いからな。さっさと来た道を戻って――」


 俺が振り返ると、突如としてダンジョンが震動し始めた。


「お? シルシュがドラゴン形態に戻って暴れているのか?」


「ん。ダンジョン内の魔力が激しく動いている。――たぶん、迷宮主(ダンジョンマスター)がダンジョンを組み替えている」


「ダンジョンを組み替える? そんなことが可能なのか?」


「……たぶん」


 ちょっと自信なさげなミラの説明をメイスが引き継ぐ。


「文献にはそういう話も多いですね。昨日と今日では道筋(ルート)が違っていたとか……。ただし、魔力を大量に消費するので『敵』がいる場合は滅多に起こらないとの考察がされていました」


 ダンジョンに関する論文ってそんなことも書いてあるのか……。


 感心しつつ、振動も収まったので来た道を戻る。


「……行き止まりだな」


 たぶんこの辺りにシャルロットが転がり落ちた坂道があったと思うのだが。


「ん。入り口そのものがなくなっている」


 探知してくれたのかミラが断言する。


「つまり?」


「ダンジョンを攻略しないと出られない」


「転移魔法で逃げるのは……無理だという話だったよな」


 冒険者ギルドでの説明にもあった。ダンジョンの中から外へは転移できないし、外から中にも転移はできない。そういうもの(・・・・・・)らしい。


「うんうん、転移魔法でいきなりダンジョンボスの下へ、なぁんてやられたら興ざめだものね」


 訳知り顔で頷くシャルロットだった。


「試してみてもいいけど、安全は保証できない」


「……ま、無理する必要はないよな」


 失敗して上半身と下半身がお別れしたなんて冗談にもならない。


「じゃあ、ダンジョンボスを倒すしかないか」


 何でこうなるんだか、とため息をつく俺だった。





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