表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【受賞・書籍化】悪役騎士、俺。 ~悪役令嬢を助けたら、なぜか国を建てることになった件~  作者: 九條葉月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/337

飲み水確保


 国王になるのなんざゴメンだ。書類仕事なんてしたくないし、そもそも俺はそんな器じゃない。


『ウケる』


 なんか知らんけどシルシュに指差されながら笑われてしまった。いや「俺が国王になる!」って宣言して笑われるのなら分かるが、なんで拒否して笑われなきゃならんのか。


「そういうのはラックにやらせとけばいいんだよ」


「なんでだよ」


「いいじゃねぇか嫁さんが公爵家の血を引いているんだから。お姫様を救った騎士が王になる。定番の物語じゃねぇか」


「……おいおい、俺とエリザベス様はまだそういう関係じゃ……いやしかしいずれはそうなるんだから……」


 照れ照れしているラックだった。チョロい。


「って、ダメだダメだ。そんなエリザベス様を利用するようなこと。天が許しても俺が許さん」


 めっちゃキリッとした顔で断言されてしまった。そしてそんなラックを見てキラキラと目を輝かせるエリザベス嬢。お前ら隙あらばイチャイチャするよな……。



          ◇



 まぁ建国は置いておくとしてだ。

 こういうとき、まず真っ先にやるべきは飲み水の確保。そして寝床の準備だな。


「真面目にやってくださり助かりますわ……」


 エリザベス嬢が目を潤ませていた。このくらいで感謝されるのもどうなんだろうな?


 とにかく。飲み水。飲み水の確保だ。人間は水がないとすぐに動けなくなり死んでしまう。騎士団長の訓練で嫌というほど理解しているのだこっちは。


「おーい、ミラ。どこかに川とか湖みたいな場所はないか? 湧き水でもいいんだが」


 本来なら川があっても飲み水にできるとは限らない。この世界はどうか知らないが、前世にはエキノコックスという感染症があったし。


 しかしメイスの『鑑定眼(アプレイゼル)』で視てもらえば危険かどうか一発で分かるし、エリザベス嬢に浄化してもらえば問題なく飲むことができる。……ただし、それだとエリザベス嬢の負担が大きいので、できれば汚染されていない水源が欲しいところだ。


「ん。探してみる」


 気合い充填、とばかりに拳を握りしめてからミラが探知魔法を発動した。


 ほぉ、ミラを中心として波形とでも言うべき流れが広がったり反射してきたりするのが分かる(・・・)な。これもシルシュが語ってくれた『力』のおかげか。


 しばらく探知していたミラは、人差し指で北の方を指差した。あっちは……魔の森の奥。ドラゴン・ブレスの爆発の中心地だな。


「あっちに岩山があって、そこから川が流れてる」


「爆心地の方か? ブレスで吹き飛ばなかったのか?」


「ブレスの爆心地より、もっと奥」


「もっと奥というと……ずいぶん遠いな」


 あのとき俺の『力』で感じたところ、ブレスの爆発は半径数十キロルの範囲におよんでいた。つまりここから数十キロル移動してやっと爆心地。そして岩山はさらにその奥と。


 いくらシルシュの血を浴びて疲労を感じにくいとはいえ、さすがにここから数十キロル歩くのはなぁ。


『ふむ。ならば集団転移で移動させてやろう。なぁに、我であれば容易いことよ』


 自分の力に自信があるのかドヤ顔をするシルシュ。そんな彼女を見て俺はふと気がついた。シルシュの背中には乗れないということでここまで歩いてきたのだが。


「……わざわざドラゴン・ブレスで道を作らなくても、岩山まで集団転移すれば良かったんじゃないのか?」


『あっ』


 あっ、てお前……。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ