表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【受賞・書籍化】悪役騎士、俺。 ~悪役令嬢を助けたら、なぜか国を建てることになった件~  作者: 九條葉月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/337

戦い終わって


 めり込んだ木から何とか抜けだし。


 俺は生まれたての子鹿みたいな足取りで皆の元へと戻った。


 まずはラックと拳を当て合って無事を祝い、皆を守ってくれたシルシュに礼を言う。そうしてから俺は改めてご令嬢たちに向き合った。


 出迎えてくれたのは――いや、出迎える余裕があった(・・・・・・・・・・)のはシャルロット一人だけ。


「お疲れ様」


「……死ぬかと思ったぜ」


「うんうん、ブラッディベアとの戦いだものね。死を覚悟するのも当然だよね」


 脳天気にそんなことをほざくシャルロットだった。死ぬかと思った大部分はお前の身体強化(ミュスクル)のせいだからな?


 と、俺はツッコミを入れようとしたのだが。


「――格好良かったよ、アーク君。そして、無事で良かった」


「……おう」


 少し目を潤ませながらそんなことを言われると、それ以上何も口にできなくなる俺だった。


 そんな俺の様子に気づくことなくシャルロットが自分の手を見る。


 その手は、僅かに震えていた。


「対するボクは何とも情けない。魔の森では魔物との戦いになるだろうと攻撃魔法を鍛えていたのに、本物の魔物を前にしては震えて何もできなかった」


「……いや、立派に身体強化(ミュスクル)を使えてたじゃないか」


 立派すぎてこっちが死にかけたほどだ。


「あれはアーク君が一人で戦って時間を稼いでくれたうえ、シルシュ君に背中を押されてやっとできたものだよ。本来ならブラッディベアが接近する前に魔法で検知して、攻撃魔法で吹き飛ばすべきだったのに……」


「…………」


 悔いているところ非常に恐縮だが、攻撃魔法を放てさえすればブラッディベアを倒せる自信はあるのな?


 いや、倒せるのか。身体強化(ミュスクル)だけであれだけの身体能力向上があったのだ。殺意を持った攻撃魔法を放てば倒せもするだろう。なにせシャルロットは『銀髪持ち』だ。


 あとは魔物を前にして恐れない心を鍛えれば――


(――って、ご令嬢を鍛える算段を立ててどうするよ、俺?)


 あの騎士団長に鍛えられたせいでこっちも脳筋になってしまうところだったぜ。やだやだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ