一筋縄ではいかない年上のお姉さん枠?
『ふ、ふふふ……さすがはアーク様……魔族と人類を統治されるお方……さすがでございます』
なんかギーナからの好感度が上がっていた。いや上がってるか? 勘違いが加速しているだけか?
とりあえず、帰ったらラタトスクの首を刎ねておこう。そしてこんがり焼いておこう。レバンティンで。
なんか空の彼方から『さすがのボクでもレバンティンで焼かれると死にますが!?』というツッコミが飛んできたような気がするが、気のせいなので気にしないことにする。大丈夫大丈夫。ラタトスクならきっと大丈夫だってー。
そんなやりとり(?)をしていると、仕切り直しとばかりにギーナが軽く咳払いした。
『アーク様。ここはまた公爵家の手の者が飛来するかもしれません。教会にご案内しようと思いますが、よろしいでしょうか?』
何度か飛んできたものな。また一人行方不明になったし、近いうちに魔の森へと向かっても不思議じゃないか。
……そういえば、うちの戦力で上から数えた方が早い人たちが軒並みこの島に来ちゃったけど……あっちは大丈夫か? まだ魔族は飛んでいきそうだが……。ラタトスク? 頼りにしていいかなぁ?
…………。
……まぁ、平気か。あっちには元第一騎士団長がいるし。ブリッシュさんがいれば大抵のことは何とかなる。常識人で実力がある人は凄いのだ。
あとはラックが残っているから戦術の心配はないし、戦力としてみればリースも中々のもの。それにシャルロットたちも戦う決意を固めていたし。
あとは引退済みとはいえ冒険者ギルドマスターもかなりの腕前だし、他にも冒険者はいる。まだまだ未熟だが俺の妹とレディの婚約者(断言)であるクルスもいるし。
……なにやら空の彼方からブリッシュさんの『俺への期待が高すぎないか……?』というツッコミが飛んできた気がしたが、これは完全に気のせいなので気にしないことにする。
というわけで。詳しい話を聞くためにも教会とやらへ移動する。
魔族の教会ってどんな感じなのかなーっとちょっとワクワクしていたのだが……普通だった。普通の石造り。規模こそ小さいが、別に技術の未熟さを感じさせるほどではない。人間界だって田舎の教会はこんな感じだ。
あれー? 魔族が作るんだからもっとトゲトゲしていたり生け贄がぶら下がっていたり暗雲立ちこめる中雷鳴轟いているとばかり考えていたんだが……。
『いったい魔族にどんな心象を抱いておられるのです?』
「…………。……ふっ、重要なのは今までの心象ではなく、これから事実を知り合っていくことさ。人間と魔族。そして、俺とギーナの間でな……」
歯をキラーンと輝かせながら全力でごまかす俺だった。前世作家だったのでこういう『いい感じのこと』を言うのは得意である。
『ま、魔王様……そんな、積極的な……』
なぜかくねくねとするギーナだった。暗くなってきてよく見えないが頬も赤くなっているような? 風邪?
「けっ」
『けっ』
≪けっ≫
なぜか次々に罵られ(?)てしまう俺だった。やっぱりナッちゃんは≪なっ≫以外も喋れるのね……。




