表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【受賞・書籍化】悪役騎士、俺。 ~悪役令嬢を助けたら、なぜか国を建てることになった件~  作者: 九條葉月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

327/337

好み・2


 力なく地面に手を突くシャルロット、アリス、ソフィー。そんな彼女たちに向けてメイスとミラが檄を飛ばす。


「いえ、皆さん、諦めるのはまだ早いです!」


「ん」


「……というと?」


 力なく顔を上げたシャルロットに、メイスとミラが握り拳を作ってみせる。


「好みの女性と結婚相手は違うと聞きますし!」


「ん」


「アークさんは身内に優しいですし!」


「ん」


「情が移った相手なら、好みから外れていても愛してくださるでしょう!」


「ん」


 自信満々なメイスとミラ。


「……それ、結局は好みから外れているじゃないかー」


 ぱたり、と地面に倒れるシャルロットであった。


 そんな彼女たちのやり取りを興味深そうに見つめるリース。


(まぁ、アークの場合、『おもしれー女』も好きなのですが)


 教えない方が面白そうだな、と判断したリースが自称情報屋・ラタトスクに視線を移す。


「現在の戦況(・・)は?」


「そうっすねぇ。神聖ゲルハルト帝国の皇帝は軍を集め終わったので、近々この国に侵略してくるでしょう」


 もはや『なぜそんなリアルタイムに戦況を?』などとは突っ込まないリースだ。


「想定通りと。『通り道』はミライン侯爵領でしょうね?」


「すでに内通しているので、十中八九」


 やれやれと肩をすくめるラタトスクだった。


(真っ先に裏切る人間など、重用されるはずがありませんのにね)


 ふん、と鼻を鳴らすリース。テキトーな罪状を押しつけられて領地を取り上げられるか、転封されるか、あるいは都合よく『病死』するか……。どちらにせよ、あの皇帝が恩に思うことなどないだろうに。


 ちなみに。もちろん。ミライン侯爵家とはメイスの実家であるが……余計なことは話さないリースだ。たとえメイスが知ったところでどうすることもできないのだから。


(まぁ、さすがにメイスも親に見切りを付けているでしょうけど)


 それでもいつ芽を出すか分からないのが親子の情であると理解しているリースだ。今余計なことをされるくらいなら、全て終わるまで(・・・・・・・)知らんぷりしている方がいい。


「レイナイン連合王国の方はどうですの?」


「ゆーっくりと軍を集めているっすねぇ」


「やはり、帝国が動くのを待っていますか」


「ま、当然っすよね。宿敵が勝手に消耗してくれるのですから。あとは近衛騎士団長がいつ出てくるか分からないっすし」


 リーフアルト王国と敵対する存在が絶対に意識しなければならない存在・近衛騎士団長ライラ。その意味で言えばもはや戦略兵器であろう。


(そんなライラすらも落としているとは……まったくあの男は……)


 魅力的な男性が夫であるのは喜ばしいとはいえ、まさかライラや古代竜や神格者までとは……。いくらなんでも限度があるだろうとため息をつくリースであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ