こわい
『人を大食いみたいに言うな』
――ぎゃあぁあ!? またデコピンされた!? ドラゴンのデコピン超痛ぇえええええ!?
「なにやっているんですか……」
なぜかメイスから呆れられてしまう俺だった。おかしい……最近メイスまで辛辣になってきたような気がする……。常識人枠が……癒やし枠が……。
「とりあえずアークさんが悪いですね」
やれやれと肩をすくめるラタトスクだった。くっ、デコピンの衝撃のせいで首を刎ねられなかった……。
「隙あらば首を狙うの止めてもらえません!?」
むしろ首を刎ねられるようなことばかり言っているんだから、わざとやっているのかと。
「わざと首を刎ねられるってどんなドMですか!?」
こいつ、わりとそうじゃね?
「――――!?」
声もなく地面に両手を突くラタトスクだった。ふっ、なんかよく分からんが、勝った。
『アホなことやっておらんで、さっさとダンジョンの入り口を開けんか』
「へーい」
シルシュに叱られたので、迷宮王の指輪を使い、ダンジョンへの入り口を開く。
『うむうむ、早速使いこなしているようじゃの』
なんかドヤ顔されてしまった。まぁ迷宮王の指輪の使い方を習ったのはシルシュだから師匠みたいなものか?
「――ん?」
と、背後で地獄から響いてくるような声を出したのは師匠。もしかして『師匠』って単語に反応しました? 自分以外が師匠になるのは許さない系? というかサラッと心読みませんでした?
俺がガクガクと震えているうちにシルシュはさっさとダンジョンに入ってしまった。もしかして逃げました?
よーし俺もダンジョンの中へ――ぎゃあ肩掴まれた!? 骨がギシギシ言ってる!? ほんと人間っすか師匠!?
「似たもの師弟……」
メイスさん、そんな俺まで人外枠に数えるのは――ぎゃあぁあああぁああ……。
◇
回復魔法って凄い。俺はそう思った。
師匠は凄い。師匠はカッコイイ。イケメンでありながら可愛いところがある。ロボットのように繰り返す俺であった。
そんなことをやっているうちにシルシュがドラゴンの内臓を持ってきた。かなりグロテスクな光景だが、まぁうちの女性陣は邪竜の踊り解体を目撃していたから耐性も付いているだろ。嫌なら自分で距離を取るだろうし。というわけで別に退避はさせなかったのだが……。
「うーん……」
『うーん……』
貧血でも起こしたのかぶっ倒れるアリスとヴィナだった。そういえばあのときいませんでしたね。なんかすみません。
※別作品で恐縮ですが新作投稿しました。とりあえず10万文字は書いてあります。
『勇者学校の指南役~私、魔王だけどいいのかしら?』
いつもの感じのコメディです
https://book1.adouzi.eu.org/n5800lj/




