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【受賞・書籍化】悪役騎士、俺。 ~悪役令嬢を助けたら、なぜか国を建てることになった件~  作者: 九條葉月


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 まぁ魔族のデッドオアアライブは魔族自身に決めてもらうとして。こちらは港の建設を始めてしまうことにする。


 この辺の地形としては陸地が大きな半月形になっている。いわゆる天然の堤防だな。東京湾とか伊勢湾みたいな感じ。


 この半月の内側に港湾施設を作る形となる。


 こういう形をしていると普段から波が穏やかになって船の係留や荷物の積み卸しがしやすいし、大波などもある程度防いでくれる。


 さらには敵船の侵入経路も限られるので防御もしやすいのだ。……まぁ航空機が登場してしまうと防御については効果が下がってしまうが、内燃機関もしばらく登場しそうにない現状で心配してもな。


「あとは魔法使いが飛行魔法で集団侵入してくるくらいか?」


「ん、あまり心配ない」


 とは、この中にいる人間で一番魔術の腕があるミラの意見だ。


「そうか?」


「そう。魔法使いが飛ぶなら飛ぶことに集中しなければいけない。飛行魔法を操りながら攻撃魔法を放つなんて無理」


「そうかぁ?」


 ヴィナはやってなかったか……? いやしかしあのときは浮かんでいただけか。遠くから飛行してきて港を襲撃するなど現実的ではないという考えなのだろう。


(そのうち対空砲とか対空警戒網とか……ま、港もできていないのに心配してもしょうがないか)


 港本体は地形をそのまま使うとして。できるなら海の中の砂や岩を引き上げて平らにしてしまいたいな。


 あとは桟橋。桟橋が欲しい。桟橋があれば船からの荷下ろしが楽になるからな。こっちの世界にも存在はしているので建設の際に説明もしやすいと思う。


 できればコンクリートで作りたいが……いや、土魔法でゴーレムを動かし、桟橋の形にしてしまうという手もあるか? 波の影響でどれくらい削られてしまうかが問題だな。


「結構。アークにも色々と考えがあるようですわね。ここは詳細を詰めてしまいましょう」


 リースが空間収納(ストレージ)の中から円い筒を取りだした。よくよく見ると丸められた大きな紙のようだ。


「ん」


 察しのいいミラが土魔法でテーブルを作ってくれたので、その上に紙が広げられる。


 紙上にはすでにこの辺りの地図が描かれていた。


「魔の森に上陸して計測したのか?」


「まさか。船の上から測量しただけですわ。ですので多少の誤差はあるかと思います」


「へー」


 準備がいいことだ。一体どこまで狙い通りなんだか。


 まぁそういうのは俺が口を出さず、リースに任せておいた方がいいんだよな。俺、知ってる。


 リースが羽根ペンを取り出してくれたので、欲しい施設などを書き込んでいく。


「交易をするなら大きな桟橋と、その近くに倉庫街が欲しいよな」


「倉庫建設のためのレンガは船で運べばいいですし、まずは桟橋を作ってしまいましょう」


「あとは、あの鹵獲した船を修理するなら船渠(ドッグ)も欲しいな」


「作りましょう。こういうのは一番最初に大きいものを作ってしまった方が後々楽ですからね」


 トントン拍子で話を進める俺とリースだった。ノリノリで決めているが、なんだか凄く大規模な港になりそうだな……これはもう桟橋じゃなく埠頭なのでは……?



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