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【受賞・書籍化】悪役騎士、俺。 ~悪役令嬢を助けたら、なぜか国を建てることになった件~  作者: 九條葉月


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うわ、容赦ない




 明らかな偽装結婚。

 こっちの気持ちなどお構いなし。


 なんとも雑な扱いをされているが、俺としては別に怒りはない。ヴィナはまだ子供だしな。あんな歳で無理やり結婚させられようとしているのだ。どんな手を使ってでもそれを回避したくもなるだろう。


 そもそもの話、こんな少女と無理やり結婚しようとしている連中への怒りの方が勝るしな。


 とまぁ、俺としては同情心しかないのだが……。他の面子がなぁ……。


『――ほう?』


 少女に対してドラゴン威圧をするシルシュ。大人げない。


「ほほう?」


 鞘から剣を僅かに抜く師匠。大人げない。


「あらあら」


 穏やかに微笑みながらも、魔力の糸をヴィナの首に巻き巻きしているリース。大人げない。


≪な!≫


 SAN値チェーック! とやる気満々なナッちゃんだった。あかんて。


 武闘派の3人(+1)はもはや臨戦態勢だし、他の女性陣も敵意を隠していない。――あ、これ死ぬな。ヴィナはもちろんのこと、なぜか俺も巻き込まれて。


 これはマズい。

 何とか穏便に場を治めなければ……。


「ま、まぁ待てヴィナ。お前さんだって俺と結婚したいわけじゃないだろう?」


『もちろんですわ!』


 即答。

 大声での即答。

 ヴィナの残り寿命が半分くらいになった気がする。物理的に。ついでに俺のも。


 いかん。これはいかん。ヴィナ本人はあと一つ失言したら首が飛ぶことを自覚していない。いやさすがにそこまではしないか? 相手は少女だぞ? ……うーん、やりかねない……。


 ここは……なんかこう、都合良く敵でも出てこないだろうか? ブラッディベアは――弱すぎてダメだな。シルシュ&師匠&リース&ナッちゃんでは欠片も残らん。


 あとこの面子を相手にして何とか瞬殺はされなさそうなのは……魔族とか?


 いやしかし、さすがに都合良く魔族が現れたりは――


『――がーはっはっ! 見つけたぞ王女よ!』


 わーお。

 なんというベストタイミング。


 視線を上に向けると、黒衣の男がお空に浮かんでいた。背中からはコウモリのような翼が生え、頭には羊のような角が生えている。


 魔族、かな?


 なんか物語の挿絵に出てきそうなテンプレ魔族だな。


 ちなみにヴィナにはあの男みたいな頭の角は生えていない。まだ子供だからか?


『可哀想になぁ! 王女を匿わなければ死ぬこともなかったのに!』


 と、一人で勝手に盛り上がりながら大規模魔法を放とうとする男。えーっと、ヴィナを追ってきて、停泊した船を発見。俺たちが助けたと誤解したってところか?


 ……ここ、シルシュやらラタトスクやらナッちゃんやらがいるんだが。気づいてない? 気づかないまま攻撃魔法を放とうとしている? ヴィナはちゃんと見ただけでやばさを認識したんだが……。


 と、シルシュが不機嫌そうに魔族の男を見上げた。


『――うるさい』


 シルシュが男に向けて手を伸ばし、虚空を握りしめると――魔族の男が起動しようとしていた魔法が霧散した。同時に、まるで巨大な『手』に握りしめられたように拘束される。


 手足と同時に背中の翼も『くしゃり』と折り潰されてしまったので、必然的に飛べなくなり地面へと落下していく男。


「……一応、尋問した方がいいっすかね?」


「うむ、まかせろ」


 ゆっくりと頷いた師匠が、その動きとは正反対な機敏さで魔族の元へと駆け、男を『お姫様だっこ』のような形で抱き留めた。


 それだけならまだ羨ましいかもしれないが……魔族の男の落下スピードを殺した師匠はそのまま男を地面に投げ捨て、剣を抜いて男の腹を突き刺したのだった。グサッと。




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