爆発
なにやら円陣を組んで話し合い(?)を始めた女性陣。
女性たちから『鈍い』だの『わざとやってんのか』だのと酷評される俺だが、さすがにここまで来れば自覚が出てくるというもの。
「え? 俺、モテすぎ……?」
「爆発すればいいのに」
「爆発なさればよろしいのに」
ラックとエリザベス嬢から冷たい目を向けられてしまった。なんで二人が『リア充爆発しろ』系のネタを知っているんだ? ……俺がよく呟いているからか。
ここは一応弁明しておくか。
「しかしなぁ、やっと来たモテ期なんだから、少しくらい調子に乗ってもいいだろう?」
「そういうところだぜ」
「そういうところですわ」
くそ、息ぴったりに酷評してきやがって。熟年夫婦か。
「で? アーク、どうするんだよ?」
「どうするって?」
「決まってるだろ? 誰を選ぶんだよ?」
「……選ばなきゃ、駄目か?」
「うわぁ、クズ」
「クズですわぁ」
いやねぇこの女たらしは。みたいな目を向けられてしまった。
「しかしなぁ。これ、下手な選択をすると死人が出るぜ?」
「死ぬのはアークだがな」
「間違いないですわね」
「なんでだよ……」
まぁ美少女が死ぬよりはいいか。
にやり、とラックがムカつく顔をする。
「こういうときは、あれだ。――いっそ全員娶っちまえよ」
「お前の方がクズじゃねぇか」
「しかしなぁ。シルシュさんや団長がガチの殺し合いをしてみろ。国の一つや二つ、滅びるぜ?」
「滅びそうだなぁ」
どうしたものかなぁと本気で悩んでいると、話し合い(?)は終了したようだ。
「では、不肖ながら、このメイス・ミラインが結果発表をさせていただきます」
きらりーん、っと。眼鏡を光らせるメイスだった。ちなみに比喩じゃなくて、魔法を使って本当に光らせている。メイスも結構ア――おっと。
「まず、王女殿下が正妻」
お? まさかの正妻の座を守り通した? あの圧の中で?
凄いなぁと素直に感心していると、メイスが続きを発表し始めた。
「シャルロット様が正嫁」
……は?
せーよめ? なにそれ? そんなんあるの?
ちらりとシャルロットの方を見ると、両腕を組んでドヤ顔をしていた。触んないでおこ。
「不肖私が第一夫人」
ちゃっかり重要なポジションをゲットしているメイスだった。まぁそんだけ図太くなければ元婚約者に押しつぶされるか。精神的に。
「ミラ様がお嫁さん」
わぁ可愛い。
じゃなくて。え? ミラを娶るの、俺? まだ少女というか幼女というか……。
「…………」
「…………」
このロリコンが! みたいな目を向けられている気がする。ラックとエリザベス嬢から。いや二人が『ロリコン』なんて言葉を知っているはずがないのだが……。シャルロットかラタトスクが教えた可能性もあるか?




