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【受賞・書籍化】悪役騎士、俺。 ~悪役令嬢を助けたら、なぜか国を建てることになった件~  作者: 九條葉月


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頭と間

「え? なんでヒロインが? まさか、ヒロインまで口説き落としたのかい!?」


 シャルロットからの俺の信頼が地面に突き刺さっている件。なんですぐ落としたという話になるんだよ?


「え? やはり私って落とされちゃったんですか? 運命的な出会いだとは思いましたけど……」


 頬に両手を当ててくねくねするアリスだった。おもしれー女。


 というか、『シルシュの片脇に抱えられて出会った』は運命的な出会いカウントでいいのか?


「そのあと私を救ってくださったじゃないですか! 邪竜から!」


「んー?」


 たしかにシルシュに「降ろしてやれって」みたいなことを言った覚えがあるが……。シルシュはまぁ邪竜という分類になるんだろうが……聖剣が突き刺さっていたし……。


 え。でもあの流れが運命的な出会いに見えちゃってたの? だいぶアレじゃないか?


 俺がちょっとドン引きしていると、シャルロットが他の面子を集めてきた。


「それに! ここには他にも『アリス被害者の会』会員がいるんだよ!」


 名前ってそれでいいの?


 シャルロットが連れてきたのはエリザベス嬢に、メイス、ミラ。うんまぁたしかに集団婚約破棄の被害者だよな。


 で? そこのところどうなの?


 俺はまずエリザベス嬢に視線を投げかけた。ちなみに隣にはちゃんとラックが立ち、エリザベス嬢の身体を支えている。


「わたくしは……別に。おかげさまでラック様と結ばれることができますし」


「エリザベス様……」


「ラック様……」


 さっそく惚気るエリザベス嬢だった。末永く爆発してください。


 もうあの二人を見ているのは目の毒なので、視線をメイスへ。


「……いえ、浮気したのはあくまで男性側ですし。いくら女性側が言い寄ったところで、『婚約者がいるので』と断ればいいだけですし」


 おぉ、何とも理知的な。


「それに、アリス様のおかげで元婚約者(あのバカ)に嫁がなくて良くなりましたし」


 おっとさらっと毒を吐かれたな。まぁ相手があのバカならしょうがない。


 あのバカからの理不尽な扱いを思い出したのか黒いオーラをにじませるメイス。俺は何も気づかなかったので視線を逸らしつつ、ミラを見た。


「ん。問題なし」


 まぁミラの年齢だと結婚に実感はないか。

 あとミラって心が読めるからな。アリスのアホさ――じゃなくて、悪気のなさは分かっていたのだろう。


 そして、


「味方がいない!」


 むがーっとなるシャルロットだった。おもしれー女。

 いや実際、婚約相手が王太子と不愉快な仲間(あのアホ)たちなのだから、むしろ婚約破棄のきっかけとなったアリス嬢には感謝するレベルだろ。魔の森への追放も何とかなりそうだし。


「くっ! しかしね! ミラ君! いいのかいそれで!?」


 親友であるエリザベス嬢や、同い年のメイスではなく、なぜかミラに問いかけるシャルロットだった。


 ……あー、エリザベス嬢はラックと二人の世界を作っているし、メイスには口と理屈では勝てない。ならばと残されたミラに一縷(いちる)の望みをかけた感じか。


 しかしなぁ。人選ミスだよなぁ。ミラって人の心が読めるんだから。アリスの本音も分かっていたはずだ。


「ん。問題なし」


「ないのかい!?」


「ん。アリスは悪人じゃない。――頭と()が壊滅的に悪いだけで」


 うわ、容赦ない。


「ぐふっ!」


 流れ弾で狙撃されたアリスが野太い声を上げていた。ドンマイ。



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