表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【受賞・書籍化】悪役騎士、俺。 ~悪役令嬢を助けたら、なぜか国を建てることになった件~  作者: 九條葉月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

178/338

そういうところだぞ


 王女ソフィーにとって最近は憂鬱な出来事ばかりだった。あのアホはクーデターを起こすし、お父様は何かとんでもないことを企んでいるし、アークは魔の森から帰ってこないし、軟禁されるし、自分がいなくても国は回っているし……。


 そんな憂鬱な日々の中、やっと運が向いてきたかと思うソフィーだった。


 なにせ、アークが、アークが、助けに来てくれたのだ。


 ……いやまぁ相変わらずの女たらしであったし、むしろ女たらし度は悪化しているような気もするが。それでも、アークはちゃんと迎えに来てくれたのだ。


 王宮を出て生活したことのないソフィーであったが、何とかなるはずだった。なにせアークがいるのだから。


 しかも、やっと、レディとクルスが結ばれるという。

 古い友人であるレディアナの恋は、ソフィーも影ながら応援していた。まぁレディは暇さえあれば剣を振ったり冒険者として活動していたので滅多に王宮へは来なかったものの、王宮に来たときは影ながら全力で応援したものだ。


 特に、乗り気ではないレディに無理やりドレスを着せ、クルスとダンスを踊らせたことは我ながらいい仕事をしたと思うソフィーだ。


 なお、クルスからの想いにはまるで気づいていない。


 まぁこれは生真面目すぎるクルスも悪いのだが。


 とにかく、クルスという人物を評価しているソフィーとしては、レディと結ばれるのは大歓迎であった。


 友人のお相手に、と認めるほどクルスを信頼しているソフィー。


 なお、恋愛感情は微塵もない。


 友人が信頼の置ける男性と結ばれる。なんだか嬉しいなぁとソフィーが浮かれていると、アークが気安い様子で片手を上げた。


「じゃあ、ソフィー。ちょっと鍛冶屋に行ってくる。剣を叩き折られたんでな」


「……む、そうですか。それもそうですね」


 魔の森には鍛冶師なんていないだろうしと納得するソフィー。王女が町中を歩くわけにはいかないからとお留守番にも納得するソフィー。


 いやしかし、ラタトスクという小柄な女性と一緒に行くのはどうなのだろうか? それではまるで二人きりのデートではないか。


 鍛冶屋行き。アークとラタトスク。

 待機組。ソフィーとアリス、シルシュ、フレズ、そして元第一騎士団長のブリッシュ。


 なんというか、もうちょっと人員配置が何とかならないかと思うソフィーであった。女性陣の中に男性一人、しかも王太子と共にクーデターを起こした人物……。


 ちなみにソフィーはシルシュの実力を知らないので、実際は完璧な守りだという認識はない。


 もしアリスがブリッシュを『魅了』して、ソフィーに害をなしたら? そんな不安を抱いてしまうソフィー。


 それと似たような危機感を、ブリッシュ自身も抱いたようだ。


「アーク。俺はあのアホと共に国王陛下を軟禁した男だぞ? なのに王女殿下の護衛を任せるというのは……」


 普通に考えてあり得ない。だというのにアークは疑問をその顔に浮かべている。


「まぁ、大丈夫じゃないっすか?」


 大丈夫。

 ブリッシュも、アリスも、変なことはしない。そう『感じて』確信を抱いたのだろう。


 と、アークの『力』をよく知っているソフィーは納得したのだが。


「な、なんと……こんな俺を、そこまで信頼してくれるのか……」


 感激で震えるブリッシュだった。アークに対する忠誠心がぎゅんぎゅん上がっていく音がする。そういうところだぞアーク。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ