はいはいテンプレテンプレ
「――説明しよう!」
おもしれー女がおもしれーポーズを決めていた。おもしれー女……。
「炎の神剣・レバンティンとはとても強い剣なのだ!」
おい説明が雑だぞ?
――レバンティン。
ゲームの設定上の強さはよく分からない。俺が書いたシナリオ上でラスボスを倒すのは聖剣だが、あのゲームにはRPG的な要素もあったので、自分が集めた装備で魔王を倒すこともできたからだ。
その場合は戦闘モードで好きな装備を使い、シナリオ上でも『炎の神剣・レバンティンから閃光が迸った――!』みたいな感じで武器名が変更されたからだ。
なので北欧神話のレバンティンと同じか似たような剣なのだろうが……あれもよく分からない。そもそも剣なのかどうかすら不明だし。炎の剣とされたり矢じゃないかと言われたり。
まぁスタンダードな逸話だとロキによって鍛えられ、ラグナロクの時に巨人スルトが世界を焼き払う剣がレバンティンじゃないかとされているな。
ちなみに日本だと名前の表記にブレがありすぎる。レーバテインやらレーヴァティンやらレヴァティーンやら……。
そんな剣が作れるとシャルロットは言う。剣士としては興味があるが……世界を焼き尽くすような剣、絶対持て余すよな。
正直、普段使いできない剣などいらん。
しかしシャルロットとラタトスクはノリノリなので、たぶん作ることになるんだろうな。
まぁ、ヤバいのが出来上がったら師匠に任せればいいか。
やはり良い剣というのは良い剣士の元にあるべきだからな。それに師匠なら世界を焼き尽くすような真似もしないだろう。
しないはずだ。
たぶんしないと思う。
……しないよな?
本人にその気はなくても、うっかりやらかす可能性はあるか……?
「では! 早速王都に向かいましょう!」
素材であるという雄鶏ヴィゾーヴニルの生肉(尾羽付き)を鷲づかみしながら早く早くと急かしてくるラタトスクだった。いや生肉鷲づかみしたまま王都に行こうとするなって。
仕方ない。
まるで準備はできていないが、とりあえず王都に向かうことにした俺だった。
◇
王都に行くメンバー決めとなったのだが。
追放されたシャルロットたちはお留守番。
クルスとレディもお留守番。
師匠もここに留まってくれるようだ。これはたぶんキングゴブリンたちが万一のことを起こしても対処できるようにだな。俺は信頼しているが、師匠からしてみればまだまだということなのだろう。
そしてシルシュは付いてくるらしい。
王都、滅んだな。
王都、いい都だったよ……。
『滅ぼさんわ』
即座に(心を読んで)ツッコミをしてくるシルシュだった。しかしなぁ。今までやらかしまくっているからなぁ。
『ふっ、まぁよい。そこまで言うなら王都を滅ぼさないと誓ってやろうではないか』
ドヤ顔でそんな誓いをするシルシュだった。
…………。
なんか逆に『フラグ』っぽく聞こえるのは気のせいか?
『そろそろ殴るぞ?』
お前さんに殴られたら破裂するわ。
と、そんな感じのいつものやり取りをしていると、
『王よ。私も同行しましょう』
のっしのっしと歩いてきたのはフレズヴェルグ。つまり、デカい鷲。
「いや目立ちすぎるわ」
『そうでしょうか?』
首をかしげるフレズだった。自覚なしかい。コイツも案外変人というか変鳥というか……。
『では、こうしましょう――」
深く頷いたフレズが、何かの呪文詠唱を始めた。
高速詠唱。
そのうえ、おそらくは人間とは異なる言語なのでどんな魔術を使うつもりなのかは分からない。
フレズの身体が光り輝く。
眩しくて。眩くて。完全に視界が効かなくなる。
……なぁんか、見たことあるパターンだな? いや今は眩しいせいで見ることはできないのだが、見たことあるパターンだな?
発光自体はすぐに収まり。
しかし目に焼き付いた光はすぐに消えることなく。俺が何度か目を瞬かせていると、
「――これでいかがでしょう?」
若い、女性の声。
というかフレズの声だ。
おいおいまさか、ワンパターンだなと考えながら瞼を開け、声の主へと視線を向けると――
――裸。
素っ裸だった。
元々の羽色を思わせる小麦色の肌。
どことなく猛禽類を思わせるしなやかな四肢。
やはり髪の毛以外の体毛は存在せず――
「――やっぱり裸かよ!」
全力でツッコミを入れる俺だった。




