ストーカー二人組
「_________ジークくん、好き!」
開き直ったのかガバッと抱き着いてくる『ニーベルンゲンの災い』の主人公ことブリュンヒルデ。頭を押さえつけ、ベッドへと投げ捨てる。「あぅ」と呻き声を上げると、正座をして犬のように待機をする。
「お前と一時も離れない。そう言う契約を交わした筈だ。」
今度は『ニーベルンゲンの災い』の悪役令嬢ことクリームヒルトがピトッとくっつき離れない。ていうか力強いな......
「レディ、私は死んだことになります。それにもう貴族の立場ではありません。」
「知っている。だから何だと言うのだ。私はお前が貴族であろうがなかろうが構わない。愛する。それだけだ。」
本当に凛々しく男前だな。一瞬キュンっとなってしまった自分が悔しい。そもそも公爵令嬢と貴族と言う立場を失った自分とでは婚姻は認められないだろうに。
「ねぇ、ジークくん!ブリュンとそこの女の扱いが違う!」
ブリュンヒルデはご立腹の様子で声を荒げる。
「俺たちは元々婚約者同士なんだからしょうがないだろ。」
「ズルい!ブリュンだってジークくんのパートナーじゃん!」
主従の関係は確かに続いている。と言うか学園での立場が従者故にブリュンヒルデとの関係を断ち切りたくても断ち切れない。
「ヴァルハラ学園を卒業するまではな。」
「やだよ!ブリュンと結婚してパン屋さんになろうよ!それで二人でゆっくりと人生を歩んで行くの!」
田舎町の小さな工房でパン作り。悪くないな。いやいや、駄目だ。駄目に決まってる。この女こそが元凶。手に入れていた「スローライフ」をぶち壊されて学園に強制入学させられた要因だろう。
「嫌だね。フロールフ先輩とかスノッリくんとかと仲良くしてればいいだろ!」
ブリュンヒルデはぷるぷると震え始める。そして頬を染め、的違いな事を言って来た。
「............嫉妬してくれてるの?」
はぁ?と思わず声を漏らしてしまう。
「え、えへへ♡ブリュンヒルデのこと、気にしてないふりしてたのに、見ててくれたんだぁ♡」
頬へと手を当て、いやんいやんと嬉しそうに身体を揺らす。
「ジークフリートはお前の事など気にも止めていない。群がる蝿がいたら殺すために目を向けるだろう。その程度の価値なんだよ、お前は。フロールフはくれてやる。乳繰りあうなりなんなりとしていろ。」
ジークフリートは私のものだと引っ付く力が強くなる。クリームヒルトから逃げ出したと言う罪悪感も在るためにジークフリートは彼女の好きにさせていた。
(クリームヒルトが歪んだ性格の持ち主でなければ正直な話、真面目に婚約を受け入れていたかもしれない。)
金髪ポニテ悪役令嬢ラスボス系美女と属性が多いクリームヒルト。外見的容姿は正直な話、一番好みだ。ブリュンヒルデももちろん可愛い。前世の俺では絶対に付き合えないだろうレベルで二人の外見的容姿は整い過ぎている。
「二人は友達だよ!もしジークくんが話さないで欲しいっていうならもう話さないもん!もっともっと束縛してよ!ブリュンはジークくんのものなんだよ!」
「恥を知れ、欲物。真に愛する男がいるのなら、それ以外の男になどうつつは抜かさん。消えろ。」
「「喧嘩上等ッ!!」」
二人は取っ組み合いを始める。
(............外でやれ、まじで)




