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ネーデルラントへようこそ

両腕を占領されるジークフリート。冷や汗を流しつつ、無言でいる。


「ジークフリート」

「ジークくん」


学園から旅立つ準備が出来たのでブリュンヒルデやクリームヒルトにバレる前に去ろうとしたのだが、二人に見つかり拘束されてしまったのである。


「何処に行くつもりだ。私を側に置けと約束をしたばかりだろう?」

「なんですぐ逃げるのかな。ジークくんはブリュンの従者だよね?」


クリームヒルトに生きている事がばれたので、ネーデルラント家のジークフリートであることを隠す必要がなくなった。それに休校となった為、実家の侯爵家に顔を出そうと学園を出ようと足を踏み出せばこれだ。


「侯爵家に帰省をするつもりなので放して貰っても宜しいですか、お嬢様方。」


パッと両腕から離れる二人。そして不自然な笑みを浮かべ此方を見ていた。そして見ているだけで何も言葉にしない。


「「また会おう(ね)」」


その異様な光景に恐怖を感じ、走り去るように学園を去る。走り去る間際、彼女達はそう言葉にしていた。


(ホラー映画の序章........)


そんな雰囲気だ。怖すぎる。あの無機質な目も気になる。


(わ、忘れよう.....)


ロキはあれ以来、何処かに行ってしまったのか顔を見ていない。休校が終わり次第会えるとか言ってたけどどんな用事なのだろうか。気になる。


(ロキといる比率が高過ぎて、なんか一緒にいないこの状況に違和感を感じるんだよな.......)


それに昨日、夕刻までに会う約束をしていたグローアも姿を現さなかった。ハブられているのだろうか。



「____________ネーデルラント侯爵領に着いた。」



馬を走らせ早二日、漸く我が生まれ故郷、ネーデルラント領に着く。


「身分証明書を見せろ。」


領内の検問を通る為、「C」ランク冒険者ライセンスを見せる。すると、検問の男が慌てた様子で頭を下げてきた。


「こ、これはジークフリート様!」


ネーデルラント家三男という立場は生きているようで何よりだ。一応はシグルド兄さんがクリームヒルトとの一件で死んだことにしていたけれど、領民達に真実を伝え、何時でも戻れるよう配慮してくれていたらしい。流石はシグルド兄さんだ。ブリュンヒルデとは絶対に結ばれないで貰いたい。


「____________おぉ、帰って来たか、我が息子ジークフリート」


大きな屋敷、いいや立派なお城と言った方がいいのか、その巨城の門番と他愛のない会話をしている人物が此方に気付き、手を振る。あの男こそがネーデルラント家現当主であり実父ジークムンドである。


「父上、只今戻りました。」


忘れているかも知れないけれど、一応は自分も貴族様の一人である。とは言え、家を継ぐのは長男であるシグルド兄さん。次男のジーフリト兄さんは既に他界をしたため、兄にもしもの事があれば自分が引き継ぐ事になっていた。四女のジークリンデは.......あまり言及はしたくない。


「シグルドから手紙が送られてきたが、お前もヴァルハラ学園へ通っているようだな」

「え、えぇ.......聖女の従者としてですが」


嬉しそうに父は自分と雑談を交わす。そして、屋敷に入り昼食にでもしようと父は言う。


「ジークリンデが寂しくしておる、会っていってくれ。あれはお前がいなければ部屋からも出てこぬほどの天の邪鬼でな。」

「わかりました。それでは昼食を頂く前にジークリンデを迎えに行って来ますね。」


妹を迎えに行くために父と別れる。二人の侍女達が自分の後ろを着いて歩くが、屋敷内ではそれが当たり前な為、無視して妹の部屋へと向かう事にする。ただ気になるのはこの二人の侍女が面をしていることだ。

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