クリームヒルトの真価
大橋の中央を堂々と闊歩する足音。そして威風堂々とした姿でマントを靡かせガルム達の眼前へと立つ。
「ボズヴァル・ビャルキ。情けないな、お前は。そこの犬に躾でもされているのか。」
覇王の職種を選定された悪役令嬢。頭を鷲掴みされているボズヴァルに対してがっかりとした表情を見せる。
「_________この程度の実力で私は手加減をされていたのか。弱者ほどよく吠えるとは良く出来た言葉だ。私こそが貴様に慈悲を与えるべき強者であることを見せてやろう。」
腰に帯刀するレイピア形状の細剣を抜き、スペイン剣術に近い構えを取る。
「貴方は今代の「覇王」ですね。」がん
鷲掴みをしていた頭を放し、鉤爪の裏側を使い殴り付ける。
「あがっ____」
ボスヴァルはその場へと倒れ、意識を失った。
「おっと、多対一と言うリスクは避けたいので眠っててもらいますね。お見せできないようで残念です。」
視線をフロールフへと移し、次に意識を刈り取ろうとするが。
「_________その男とは許嫁の関係にある。」
鉤爪はクリームヒルトの剣により止められていた。
「とは言え許嫁の関係は解消するがな。」
鉤爪を弾き、再び構えを取る。
(一体どうなっているのでしょう........私は速度には自信があるのですが)
ガルムは疑問に思い、クリームヒルトへと前後左右からの同時攻撃を試す。
「分身か.......いいや、純粋な身体能力による速力加速だな。」
「全てを防ぎますか、」
ガルムは一度後退し、思考する。
(覇王の能力の一部に「威圧」と言う能力がありましたが.......それだけで私の速力を落とすことは不可能。「覇王」については不明な点が多い。これまで通り、短期決戦で勝負を決めましょう。)
「覇王」の覚醒能力について完全には把握をしていないガルム。故に能力を発動される前に勝負を決める。
「別に能力が知りたいのなら口頭で説明してやってもいい。」
クリームヒルトは嗤う。唯我独尊であり自信家。己の敗北など考えたこともない。
「冥土の土産だ。おっと此処は冥界だっ_______________話はまだ終わってないぞ?」
話の途中に近づいたガルムは地面へと身体を縛られる。
(動けない.........捕縛系統のルーン.....いいや、封印系統の能力か.......)
ガルムはグルルと喉を鳴らし、クリームヒルトを睨み付けていた。
「図が高いぞ、犬。」
睨み付けるように見上げていたガルムの顔が地面へと重圧により押し付けられる。
「がッ...........重力制御...........か」
ガルムは押し潰されそうになる身体を膂力で何とか耐える。
「ご明察。覇王に「威圧」などと言う能力は存在しない。覚醒能力の延長線なだけだ。」
重力操作で「威圧」を再現しているに過ぎない。クラス対抗戦以降、訓練を重ね、覚醒能力を完璧に操るに至る。
「このままお前を圧殺する。這いつくばったまま死ね。」
クリームヒルトがそう言い終えるとガルムの肉体は肉塊へと変わった。コンプレッサーに入れられた鮮肉のように押し潰され、見るに耐えない無惨な姿と成り果てる。
「これで分かっただろう、狂戦士。お前は加減せずとも私には万の一にも勝ち目はなかったのだ。部を弁えろよ、下郎。」
意識がないボスヴァルへそう言い捨てるとクリームヒルトは冥界の女神が住まう城へと入っていった。




