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グローアはお楽しみのようです

『________大丈夫、私が側にいるわ』


冥界の辺境にある館にてスヴィプダグ•グローアはメングラッドと言う大層美しい女性に囚われていた。身動きは取れず、ルーン魔術も発動できない。


『貴方は彼の生まれ変わり。もう二度とあのような結末にはさせない』


目の焦点が合っておらず、淡々と自分の世話をするメングラッドに恐怖を感じる。


「あんた、何が目的でこんなことをする!」


グローアはメングラッドへと怒声を上げる。しかし彼女は恋人を宥めるように肌に優しく触れ諭す。


「ヘルヘイムへと繋がる門が解放されたのでしょう。死者は生者に惹かれる。そしてその者に嫉妬し刃を向けるの。だけど大丈夫よ、スヴィプダグ。他の死者はこの館には入れないの。」


胸元へと顔を埋め淫靡にそう語るメングラッド。グローアも男ゆえに下半身が反応する。メングラッドは嬉しそうにグローアへと口付けをする。


「全てを忘れましょう。そして私とこの館で死しても永久に生き続けるのです。」


グローアは金縛りから無理やりと抜け出そうと力をいれるが、びくともしない。


「恐れなくても大丈夫ですよ___________私が全て貴方のお世話をして差し上げます。」


メングラッドはそう言うと寝室から出て言ってしまう。グローアは目を瞑り、溜め息を吐く。


(戦いの中で死ぬなら文句はない......)


英雄に憧れて故郷を飛び出した。そして冒険者家業で日銭を稼ぐ毎日。10歳に到達し、天啓を受けると『冒険王』という七英雄にも並ぶ職業に選定された。それからは職業適性を伸ばし、冒険者ランク『s』へと上り詰める。


(女に飼い殺されて死ぬのが俺の運命なのか........)


俺は己を高める為に冒険者家業を休止した。そして大陸から強者達だけが通える学園へと入学したんだ。ライバルに飢えていた。同世代で俺と同じくらい信念があり、腕っぷしがある奴を探す。


(ビャルキの奴に序列戦で負けた時は心が踊ったさ。もしかしたら、こいつは俺の盟友となり良きライバルになれるのではないのかと。)


だが杞憂に終わった。彼奴はただの忠犬だ。誰かが鎖を掛けてなければ狂犬と成り果て、戦場でくたばる。そんな死にたがりのベルセルクがボスヴァル•ビャルキだった。実力は認める。クロールヴへの忠誠心も貶しているわけじゃねぇ。


(だがな、俺は力があるのに縛られている奴に興味はないんだ。)


その点、ジークフリートはいい。あの堂々とした佇まい、そして闘気。戦闘センスもある。女癖が悪い欠点を除けば彼奴はいい勇士だ。


(序列戦では恥をかかされたからな。あんなクソみたいな勝利は認めない。正々堂々と勝負をし、俺は勝つ。)


とは言え、現状何も出来ないのも事実。誰かに俺の居場所を伝える事が出来れば......


「ん?」


館の窓からニヤニヤとした様子で此方を覗き込む二人組の姿が目に入る。


(ッ、ジークフリートに「c」組序列一位のロキッ!!)


即座に口パクで「助けろ」と言うが二人はただニヤけ面で顔を横に振るう。額に浮かぶ血管がはち切れそうだ。


『なんかお楽しみのようだし、先を急ぐか』

『うん♪スヴィプダグ•グローアはファフニールお宝を見つけたようだしね♪』


全裸で縛られるこの状況がお楽しみな訳がないだろ!それと立ち去ろうとするな!!


「_____________何事ですか?」

「あ、いや、ただ..........あんたを待ってた」


何とかごまかす。するとメングラッドはグローアの頬へと手を当て優しくさすり出した。横目で窓際を確認すると未だに二人はニヤニヤと此方を観察している。此処から出たら殺そう。


「さっきあんたが言っていた生まれ変わり、と言うのは一体どういう意味なのかを聞きたくてな。」

「気にしなくて結構ですよ。貴方は今、此処にいるのですから。」


メングラッドの虚ろとした目が一瞬、揺らいだ事に気づく。


(.........あまり深入りしない方がいいか。)


目の前にいるこの女の精神は普通ではない。自分を見ているが自分を見ていない。


「______________そこで私たちを見ていることには気づいていますよ」


やはりバレていたらしい。あれだけの視線を向けていれば冒険者見習いでも気づくレベルだ。


「私とスヴィプダグの愛の巣に何用ですか。もし何もないならお引き取りを。無用な殺生は好みません。」


窓を外側から割り、館の内部へと足を踏み入れるロキとジークフリート。その際にメングラッドは一瞬、頬を上げるが直ぐに平常時の顔に戻る。


「そこにいるグローアがどうしても館に残って貴方と大人のお付き合いをしたいと言うのなら引くことにするよ。」

「それではお引き取りをお願いします。スヴィプダグは私とシッポリしたいと身体が反応しておりますにで。ほら、下半身を見ればお分かりでしょう?」


ジークフリート達と話している際にメングラッドはグローアの性感帯を弄っていた為、グローアのグローアも膨張してしまっていた。グローアは小さく情けない声で「見るなぁ」と喘ぎ声にも似た情けない声を上げるのだが、ジークフリートは何とか笑わないように堪える。


「ああいうプレイ、ジークフリートとしたいなぁ........」


よし、ロキの今の発言は聞かなかったことにしよう。


「あぁ、うん、なんか、お邪魔したみたいだね、グローア!元気でやれよ!」

「あ、おい!!助けろ!!!ちょ、本当に行こうとする........え?」


いきなり視界が館から館外へと変わる。自分の身体を確認すると、全ての装備が戻っていた。ルーン魔術も使える。周囲を見渡せば、ジークフリートとロキがニヤニヤとした顔で自分を見ている。


「そら、助けてやったぞ。」

「回帰したいか♪禁忌でいいか♪正常な性事情♪下半身は避雷針♪」ひっひっひ


『道化師』としての覚醒能力を使い、メングラッドの館からグローアを連れ出すことに成功する。今頃メングラッドは幻術のグローアと仲良くしっぽりしているのだろう。


「あ、戻りたいならこの先の丘が館だから戻ってもいいぞ。」

「ファフニールのお宝を見つけるかい?」


めちゃくちゃ煽るジークフリート達に我慢の限界が訪れる。


「__________殺す!!」

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