逆異世界転移
現実世界にて_________________
「__________信じられないな。」
鴉羽三三三の前に存在するファンタジーな格好をした少年。その容姿は山田廉太郎を大幅に美形化したような見た目だった。
「信じる信じないの話ではなく事実なんだ。お前も見た筈だ。廉太郎がここ最近、行動を共にしている女性の存在について。」
幼馴染である夜桜雅は自分に好意をよせていた同級生を三人殺害。同日、自分宅へ侵入し、襲い掛かってきた。危機一髪のところを親友である山田廉太郎に助けられた。
「廉太郎の家で居候している..........彼女か。」
廉太郎は雅を押さえつけ、何とかその隙に部屋から脱出する事に成功する。警察へ即座に通報し、家の外で廉太郎が出てくるのを待っていると、黒騎士にお姫様抱っこをされた廉太郎が玄関から堂々と出てきたのだ。
「あんた達が異世界から来た事は理解したよ。だけど、これからどうするんだ。戻る手筈はあるのか?」
スキールニルと名を名乗る自分に問い掛ける。
「正直に言うとない。現状、お手上げだ。」
戻る時の為に魔力糸を幾重にも張り巡らせていたが、次元移動の際に無理矢理と遮断(魔力糸を断ち切られる)させられてしまった。恐らく世界側から修正が入ったのだろうと予測できる。
「ジークフリート.......」
(っ、冷静さに欠けていた俺の失態だ。アスラウグを追うべきではなかった。)
再び会える可能性が閉ざされてしまった。死後はヴァルハラへと誘われるだろうが、この肉体になってしまった以上、随分と先の未来になってしまう。
「........能力は保持できてるし、元々はこの世界の住人だったんだ。何とでもなる。」
千里眼(未来視)がある限り、この世界で財政的に困る事はない。それにこの身体と能力があれば暗殺される不安もない。寧ろ、異世界以上に無双出来る能力がこのボディーには備わっていた。
「ただ一つ不安な要素があるとすれば...........アスラウグの精神面が心配ではあるがな。」
だが、スキールニルの心配は不要であった。何故ならば、アスラウグ・ロズブロークは既にこの世界に順応し、山田廉太郎に熱を上げていたからである。
(あぁ............この世界であれば誰にも邪魔されずにジークフリート様を独占出来る。)
容姿が大分、ジークフリートとはかけ離れてはいるが正真正銘、目の前にいる男はジークフリート本人なのだ。
(見間違える筈はありませんわ。その魂、匂い、仕草、全てが全てジークフリート様のそれなのです。)
愛おしい。そう感じざるを得ない。目の前で頬を染め、恥ずかしそうに自分から目を逸らすウブな青年。
「ふ、ふふふ.........」じゅるり
自分も経験がないとはいえ捕食者のような気分になる。
「力になれるかわかんないけど、俺も協力するよ!一緒に探そう!アスラウグさんが元いた世界に戻れるように!」
健気にもそんな事を口にする彼に思わず熱い抱擁をしてしまう。
「あ、アスラウグさん!!?」
貴方の目に写っているものはアスラウグ・ロズブロークしかいない。思考が全て自分だけに向いている。
(んん♡)
彼の反応全てにキュンキュンしてしまう自分はおかしくい筈だ。もし仮に聖女や覇王が同じ立場にいたとしても自分と全く同じ行動をとっていたことだろう。
「はい、一緒に探して下さいまし________」
(________________________貴方様と私が死するその時まで。)




