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メンヘラに鉄槌を!

「錨を下ろせ、旗を掲げよ___________侵略の閃き。」


スキールニルの身体能力値が比較にならない程上がっていく。ルーン魔術による自己強化。


「融解せよ、旋回せよ_______________魔力の棺。」


魔力量が数倍にも羽上がる。


「山田廉太郎、私を守るんじゃないの?三三三、めっちゃ自分にバフ掛けてるけど、あんた、棒立ちじゃない。守る気あるの?」

「いいんだよ。最後の戦いが親友との喧嘩ってのも王道味があっていいだろ?お前は黙って俺に守られてろ。」


開き直ったのか、スクルドは面白がってこの状況を受け入れ始めていた。そもそも魔力を全損しているので、何も出来はしない。流れに身を任せるしかないのだ。


「俺に守られてろ、か............そんなこと、人生で一度も言われたことないや.........」ボソッ


スクルドが何か独り言を言っていたようだが、ジークフリートの耳には届いていない。ジークフリートは頬を釣り上げ、集中力を高めていた。


「はぁ........俺も大口叩いた手前、負ける訳にはいかないよな。」

(炎帝の彩飾、飾り混ぜるは業火の色合い___________)


魔力糸の数が尋常じゃない程に増えている。そして、スクルドの創造した擬似魔王城風の空間がスキールニルの力により徐々にだが侵食され始めていた。


「おいおい、これは........」


空間は完全にスキールニルの意思により侵食される。そして其処は夕暮れどきの校舎であった。山田廉太郎と鴉羽三三三が出会い、初めて言葉を交わした教室。


「____________廉太郎との時間が俺にとっての全てだ。」


その言葉で理解する。スキールニルは本気なのだ。容姿のせいで散々な目にあって来た少年が始めて友人と呼べる存在に出会えた場所。


(........色眼鏡も差別も何もなく対等に話をしてくれる存在。ただ、対等に普通の友人として接してくれる人間。あいつにとって一番必要としていた存在こそが俺なんだ。)


どんなに取り巻きがいようとも、鴉羽は自分の元へと来ようとしていた。


「生まれ変わった世界くらい、静寂でいさせてくれよ。雅、お前は俺から日常を、廉太郎を奪ったんだ。例え幼馴染で在ろうと、許すことは最早、出来ない。だからもう___________死んでくれ。」


スクルドへと視線を向けると、ただ、目に涙を浮かべていた。先程とは違い、表情に余裕の一切を感じない。完全なる否定をされ、悲しみを感じることしか出来ない。


「すぅーはぁ............ちゃんと振られたじゃねーか。」


こいつは何を言っているのだろう。自分でもそう思う。


「諦めずに挑戦し続けるか、諦めて前進するか..........なんかそれっぽい事言うのめんどくさくなってきた。取り敢えず、スキールニルと喧嘩してからお前達_________」


スクルドに視線を向け、笑い掛ける。そしてスキールニルを真っ直ぐと捉え叫ぶのだ。


「______________メンヘラを更正させるッ!!」











(______________頭のおかしな男だ。)


山田廉太郎。自分を庇い立てして戦うこの男は頭のネジが何本か抜けている。自覚のない異常者。だけど、心の芯では優しさが拭えきれない甘ちゃんでもある。


(数十世紀も越えて尚、三三三に執着して来た..........最早、呪いにも等しい愛だ。だけど、愛が覚めるのもまた一瞬。)


戦いの中で殺されたのなら納得できる。ただ否定され拒絶されたとしても諦められずに済んだ。だけど、三三三の奥底に秘め歪んだ感情を見てしまった。


(三三三は私以上の闇を抱えている。歪過ぎる程の。)


幼馴染だと言うのに何もしてあげられなかった。本来であれば私こそが寄り添って相談を聞いてあげる立場にあったのに。それが出来なかった。独りよがりの恋に盲目に準じていた。


(悔しい..........)


馬鹿な女だと後悔する。そして鴉羽三三三という人間に対して同情を感じてしまった。


(愛が覚めたんじゃない。自分のバカさ加減に目覚めたんだ。)


償いがしたいなんて我が儘は言えない。私が出来る事は最後まで悪役であることだ。そして気の済むままに私を殺してくれ。


(汚れた魂は輪廻から外れ浄化する。今度こそ、私は私と言う存在ごと消えてなくなれる。それこそが贖罪となる。)


なのに、なんでこいつは生き生きと私を生かそうとするのだろう?


(ちゃんと振られたじゃねーか?じゃねんだよ...........それと三三三と私を簡単にメンヘラと片付けるのも苛立たしい。)


だけど、なんでかな..........その頭の抜けた発言に救われた自分がいる。こんだけ世界を破壊し、混乱を生んで置いて、私は救われたなんて言葉を使うのか。本当に頭がイカれているのはやはり私なのだろう。


(この男の行く先を少しばかり.........隣で見ていたいと思ってしまったのだから。)

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