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何をしてっ!!?

グラム=バルムンクが虚空に向け振るわれる。


「何をして..........」


スクルドは意味が分からないと言った様子でジークフリートへと視線を向ける。だが、直ぐにその行動に意味があることを理解する。


「............ジーク、フリート?」


ルーン魔術による洗脳で意識を剥奪していた筈のスキールニルの意志が完全に覚醒する。スクルドは目を細め、殺意をジークフリートへと向ける。


「ようやく目覚めたようだな、主人公さま?」


スキールニルは直ぐに現状を把握し、戦闘態勢に入る。


「形勢逆転だな。スキールニルが起きた以上、お前に勝ち目はない。武装を解除しろ、スコーネの女王スクルド。」


スクルドは頬をにぃいと釣り上げ、杖を天へと向ける。


「それは.......どうだろう、ねッ!!!」


魔力による光線を天へと向け解き放った。そしてそれは天高い場所で三方向へと分散し、遥か彼方へと消えて行ってしまった。


「バカな奴。計画の失敗も視野に入れて計画しているに決まっているだろう。」


スクルドは何かしらのルーン魔術を発動した。


「雅、一体何をしたんだ!」

「ふふ、三三三の焦る顔、可愛いなぁ..............そう、そうだね、うん、三三三がそんなに知りたいなら教えて上げるよ。」


スクルドはジークフリートと対峙するときとは打ってかわって甘々な様子でスキールニルへと向き直る。


「ラスボスや敵キャラがやられそうになって最後に起こす行動はなーんだ?えへへ、もし当てられたら御褒美を上げよう!」


考えるだけでも数パターンあるが、全て最悪な展開になりかねない。


「雅、まさか.........そんなっ、」

「あぁーあ、視えちゃったんだね。その眼は未来が見え過ぎるのが傷だ。」


未来視が発動したのだろう。スキールニルが苦悶の表情になる。そして、スクルドへと攻撃を仕掛ける為に動き出す。


「くっ、雅ぃいいいい!!!!」


魔力糸を展開し、殺す勢いでスクルドを襲わんとするが、ジークフリートがそれを庇うようにグラム=バルムンクを振るう。


「っ、ジークフリート!何をしているんだ、そこを退いてくれ!!」


だが、ジークフリートは退かない。


「_________やめろ、この女を満足させたいのか?」


スキールニルはジークフリートの言葉を受け、スクルドへと視線を向ける。するとそこには満面の笑みを浮かべ、両手を広げるスクルドの奇怪な姿が写っていた。


「雅ぃ、お前は何処まで狂えば気が済むんだ!!!」


スキールニルの手に掛けられるのならば本望。そんな腐った表情を見せられて、スキールニルは表情を歪める。


「狂ってなんかいないさ。私は平常だよ。ネームドはアスラウグ・ロズブローグを除きほぼ死に絶えた。そして最後の布石として用意していた『国落とし(グングニル)』を発動したんだ。それも三ヶ所にね。」


『国落とし(グングニル)』とは大国間戦争で使用を禁じられている太古の最上級攻撃ルーン魔術。現代で言う核兵器と同等の破壊力を誇り、膨大な魔力を持ってその破壊力が再現される。理論上、構築は再現可能であるとされていたルーン魔術ではあるが、あまりにも膨大な魔力と儀式を必要とするため、どの大国も研究を頓挫せざる得なかったルーン魔術である。再現はされなかったものの条例として使用、または研究の禁止が記載されいる。


「最後に取る最も残虐な悪役の行動、その多くは敵味方関係なしの自爆、そして当人達を除いた世界の破壊だ。」


先程、天へと解き放った光の魔力は恐らく『国落とし(グングニル)』なのだろう。古の魔術師であるスクルドにとって再現することは難しくはなかったのだ。


「私が生きてきた歳月分の核弾頭。存分に人類には味わって貰いたいね。とはいえ、今ので私の魔力は底をついてしまったよ。」


自慢気にそう説明するスクルドの胸元を掴み上げ、スキールニルは怒声を上げる。


「なんてことをしてくれたんだ.......ようやく、大陸は一纏まりとなり、平和な世が訪れる筈だった!!なんで、いつもいつもこんな事をするんだよ、雅っ!!」


掴む手へと自身の手を重ねて、優しく微笑を浮かべるスクルド。


「___________そんなの決まってる。全部、スキールニル(鴉羽三三三)の為だよ、えへへ。」


鳥肌が立つ。スキールニルはそのあまりの狂気に後退り、尻餅をついてしまう。


「くそ、くそッ.........また、俺のせいで多くの人に迷惑を掛けて...............」


キッとスクルドを睨み付け、静かに立ち上がる。


「廉太郎...........スクルドは殺さないとダメな人間だ。」

「......................分かってる。」


だが、ジークフリートは引かない。スクルドを守るように立ち塞がるのだ。


「ならっ、其処を退いてくれよッ!!!」

「もう、視えているんだろう?俺が引かない事、そして、このイカれた女を生かそうとする理由を。」


スクルドは眉をピクりと動かす。


(なぜ、山田廉太郎は自分を庇おうとするのだろう。理解が出来ない。情でもわいたか?それとも私に恋心を抱いているのか?それこそあり得ない話だ。ならどんな理由を持って私の前に立つ?)

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