日常だった.....
ヴァルハラ学園で学生をしていた頃が懐かしいと感じる程に重厚な非日常を送ってきた。そして彼女は日常の一部だった女性だ。学園では同室で生活をし、クリームヒルトの付き人をしていた元a級冒険者。
「レギン......生きていたのか.........」
まず第一にそんな事を口に出してしまう。レギンは主砲を使い、庭園内にいる戦士団を一掃すると自身の前へと降り立ち、太股に突き刺さった剣を引き抜く。
「ふんっ!」
「ぐっ!!!?」
そして剣を投げ捨てると魔法袋から何やら取り出し、渡して来た。
「お前はほんっと昔から失礼な奴だ.......ほらよ、ハイポーション。失った左腕は直らねぇーけど、まだ戦いてぇんだろ?」
心情を汲み取ってか、レギンはそう言葉にする。
「..............あぁ」
ハイポーションなる回復薬を受け取り、何とか口へと流し込む。
(これでまた戦える..........あのくそ女の元へと行ける。)
短剣一本で渡り合えるとは思わないが、あの女の元へ辿り着くには十分な装備だ。
「..........ジークフリート、死にに行くつもりか?」
「俺は、鴉羽を助ける..........そして、あの女を殺す。」
レギンはため息を吐き出し、魔法袋からまた何かを取り出し始める。
「そんな装備じゃあ無駄死にするだけだ。そら、これでも使え。」
「..........レギン、どこでこれを?」
「たまたま見つけたのさ。どこかのバカが次元斬りでもして無意識に元ネーデルラント家の跡地にでも飛ばしたんだろうよ。」
レギンから手渡されたもの。それは、シグルド・ネーデルラントが愛用していた魔剣。斬れぬ物はない最強の刃。
「________________グラム=バルムンク。」
ネーデルラント家の象徴とも言うべき魔剣。
「............レギン、ありがとう。」
精一杯の笑顔でお礼を言う。レギンは顔を紅くし、そっぽを向く。
「お前はっ.........はぁ、ここは俺と彼奴に任せて倒して来い。勝ちたいんだろ、ジークフリート!」
五門の砲身がレギンを囲む様に展開される。
「この恩は必ず返す。」
そう言い残すと姫城へと走り去っていくジークフリート。その姿を見届けたレギンは城門へと飛び移り、呪いが蔓延る空を見上げる。
「お前はジークフリートに挨拶しなくてよかったのか?」
隣にいる赤刀を帯刀する鬼剣士へと声を掛ける。
「.......ジークフリートが望む世界が完成してからでいい。」
自分の血液を自在に操る事が出来る職業「鬼剣士」。そして赤刀、ダーインスレイブは本来の担い手であるミストの元へと回帰していた。
「カーラとエイル姉が死んで、あの忌々しい覇王も聖女と共にくたばっちまった。この状況じゃあアスラウグ・ロズブローグ一人じゃあ相当に厳しいと思う。寧ろジークフリートを守りながらになると多分、共倒れする。」
ダーインスレイブへと静かに手を掛ける。
「だから僕が守る。障害を取り除くんだ。ジークフリートが目指すスローライフの先に辿り着く為に。」
エイル姉やカーラと約束したんだ。もし二人が倒れジークフリートにピンチが訪れたら守り抜けと。
(ジークフリート、十解入りを断ってごめん。僕の力では見劣りしてしまうと思ったんだ。事実、ダーインスレイブを奪われた僕じゃあ何の役にも立てなかったと思う。)
実家は世界蛇に呑まれ、親友達も死んでしまった。憎んでいた覇王ももういない。
(僕が大切に思えるものはもうジークフリートしかない。)
だから戦わせて欲しい。世界樹の守り手は一時休業だ。
「すごい数の害虫。レギン、離れてなよ。」
レギンはその場から退避する。それを確認すると、レギンはダーインスレイブを鞘から抜くのであった。
『ダーインスレイヴ_________________起動』
半径500m以内にいる生物の強制吸血権を得る。デメリットとして一分という時間が経過しても領域内の生物が死滅していない場合、魔剣保有者は死亡する。




