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因果なのだろう

鴉羽三三三を前世で殺害し、自害した私はスコーネの女王として生まれ変わった。数十世紀も大昔の話だね。北米神話をなぞり、歴史は進んでいく。そしてラグナロクが起きて世界は一度滅びた。もちろん、自分も人間だ。頑張って生存しようともがいたけれど死んでしまったよ。


「______________冥界に亀裂が出来ていく。」


それから数世紀の時を得て、冥界の女王ヘルが支配するヘルヘイムの上空にて亀裂が入る。時折、このような現象は起きてはいたが、今回は規模が普段よりも大きい。


(また生界のおバカさんが冥界へ来るために封印を解いたのか.........懲りないな。冥界の女王には何があっても勝てないと言うのに。)


ヘルヘイムの死者達はお祭り騒ぎであった。最後の楽園(ヴァルハラ)への道が開かれたのだ。生界へと戻ろうと死者達は亀裂を目指し、進行する。


(.............おいおい、嘘だろ。)


亀裂の穴から人が降って来た。落ちてくる事は珍しくはない。七英雄の職業適正者が時折、冥界の女王ヘルを討ち取らんと冥界へとやってくるのだ。


(北欧神話の世界だと勝手に勘違いをしていたが....)


ただ、今回はいつもと違った。落ちて来た人間に見覚えがあるのだ。それも前世の頃に。つくづくとこの肉体は記憶力がいいと驚かせてくれる。


「ここは...........乙女ゲーの世界なんだ。」


北欧神話の世界に転生したものだとばかり思っていたが、ここが乙女ゲー世界が原作とした世界であることを理解する。


「くくく、ふふふ、あははは!」


私も他の死者同様に亀裂へと足を踏み出し、生者の生きるヴァルハラへと舞い戻る。


「三三三がいない世界で生きる事は本当に苦痛で仕方がなかった。だけど、もしかしたら希望があるかも知れない。その思いだけで生きながらえてきた。」


見つけよう。この世界が乙女ゲーであるのならば、私だけでなく鴉羽三三三も転生している可能性が高い。


__________私は旅をした。


スコーネの女王スクルドとしてどう立ち回れるかをあらゆるパターンで試行錯誤する。この身は神話の時代のルーン魔術士。ヘルヘイムに落ちてからも魔術の研鑽は怠らなかった。魔力の量だけでいえば、誰にも負けない自信がある。例えそれが神であろうと。


(今の私の実力であれば戦い方次第で終末の獣や神々を上回る事が出来る。)


持論ではあるが、戦いとは魔力量で決まるものだと思っている。


(三三三は絶対に存在する。世界を乗り越えた私と君は絶対に結ばれる運命に在るのだ。今度こそ逃がしはしない。)


スコーネの女王スクルドもまた、この世界の登場人物。原作では最後の方にちょろっと出ただけであったから忘れてはいたけれど野心深い人物であったことは覚えている。


(なんで今の今まで気づかなかったのだろう.........私自身に興味がないから、か。三三三がいない世界で美意識なんて必要がないと切り捨てていたんだ。)


鏡なんて録に見ていなかった。バカな女だ。今は確信からか、身なりや美容にも力を入れ始めている。


(三三三の前ではいつだって完璧な女の子でいたいんだもん。)


大国を渡り歩き、漸くスキールニル王が鴉羽三三三であることを突き止める。


(予想通り、三三三はこの世界にいてくれた。生きていてくれた。)


アルフヘイムの英雄王として華々しい活躍を世界へ轟かせる三三三に歓喜する。


(容姿は山田廉太郎に寄ってはいたけれど、三三三の趣味だろうから許容出来る。)


三三三は山田廉太郎にご執心していたからね。ただ、可笑しな異物が物語に混入してきた。


「..........神聖スヴァルタールヴァヘイムなんて国、私は知らない。世界の情景が原作に沿っていないんだ。」


そもそも神聖国王なんて登場人物は存在していない。


(私はこの男について探りを入れることにした。)


結論から言うと神聖国王はネーデルラント家の次男であるジークフリート、山田廉太郎であった。


(ネーデルラントの花なんて呼ばれる勇者シグルドの実弟だ。)


あの男もこの世界へ転生していた。


(忌々しいとさえ感じる。)


何故、私が愛する鴉羽三三三の姿を被り、この世界へと転生してしまったのか.........


(嫉妬で狂いそうになる。お前には過ぎた容姿だよ、山田廉太郎。)


感情を抑え、力を蓄える。短期間で神聖国なる牙城を崩す為の計画。冥界の女王は世界蛇により冥界へ封じられ、世界蛇もまた世界に混乱をもたらし討伐された。ならば私が取る方法は一つしかない。


「銀狼の復活だ。そして何故だか省かれている聖女の存在は有効に使えるだろう。」


この世界の主人公を蔑ろにするとは、バカな男だと鼻で笑う。


「戦力は我が手中にある。ファフニールの宝を取りに行こうじゃないか。」

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