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屈服させよう

「............ジークフリート様、どうかご無事でいてくださいましっ。」


アスラウグは黒馬に乗り、ジークフリートの元へと急いでいた。ヴァナヘイムは最早、壊滅状態。一部は焼失し、完全に土地ごと消滅した場所もある。かつての大国はそこにはもうない。






(その顔で、その声で............喚くな。)


スクルドは眉間に皺を寄せ、挑発した笑みを浮かべるジークフリートに不快感を感じる。


「殺さないようにと手を抜いていたというのに、つくづくと君は愚かで無能な男だよ、山田廉太郎。」

(愚者の風、遠ざけろ、離れろ___________風は衝撃となる。)


スクルドから爆風にも似た衝撃波がジークフリートを吹き飛ばす。そして、スクルドは立ち上がり、服についた埃を払うのだ。


「二度と立ち上がれないように教育を施す必要があるみたいだね。」


肉体的に精神的に挫折させる必要がある。スクルドは鉄剣を拾い上げ、吹き飛ばしたジークフリートの元へと向かうために歩き出す。



(___________あの女は適度から半殺しにシフトチェンジした。)



冷や汗が出る。だが、殺意に陰りはない。


「スローライフを送る........」


ここまで来た。あと一歩なんだ。多くの屍を乗り越え、此処まで旅を、冒険をしてきたんだ。ならば、達成しなければならんだろ。


「俺はお前を殺して世界に平穏をもたらす。」


十解なんて意味が分からない組織がいつの間にか立ち上がって、その組織の構成員は自身の掲げた目標に従い動いてくれた。


(あと少しで平穏とした日常が訪れる筈だったのに......)


もうアスラウグとロキしか残っていない。そして此処まで暗躍してくれたロキですらも残り数日と持たない命。ならば頭目である自分自身が彼らに示さなければならない。


「__________俺は成し遂げたのだと」ボソッ


ジークフリートは迫りくるスクルドを向かい打つべく、魔力を身体に循環させていく。


「その諦めない顔、真っ直ぐと前を見るその眼.........」


スクルドは徐々に歩く速度を上げていく。


「廻る円環、墜ちたる光輪_________我が歩みは収束する。」


ジークフリートの視界からスクルドは消える。だが、このパターンは予測積みだ。


「視界から消える相手は大概、背後から攻撃を仕掛ける!」


スクルドの鉄剣による斬撃を槍にて受け止める。スクルドは一瞬、驚いた表情を見せるが直ぐに平時の顔へと戻り、ジークフリートの腹へと蹴りを入れ、距離を取る。


(私の動きについてきている.......いや、適応してきているのか。)


腐っても冒険家。近距離戦闘を続ければ続ける程、ジークフリートの軍配が上がっていくのだろう。


「..............このまま君の土俵でいたぶり、屈服させて上げたかったけど、強いね。大国全てを支配下に置いただけの事はある。」


鉄剣をジークフリートへと向ける


「第二ラウンドだ。私は今からルーン魔術を攻撃へと転用する戦闘スタイルに切り替える。覚悟はいいかい、ジークフリート?」

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