外伝の主人公は暗黒騎士【五】
アスラウグは世界蛇の頭部を目指し旅をする。
「あの巨体故に生半可な攻撃では傷をつける事は出来ない.........」
時折、世界蛇本体へ攻撃を仕掛ける大陸の戦士たちを目にするが、効果はあまりない。
「わたくしに何が出来ましょうか。力のない無力なわたくしに.....」
アスラウグは己の職業適正に火力がないことを嘆く。そして思考するのだ。どうすれば世界蛇本体を倒すことが出来るのか。
(.......火力のある職業適性者を見つけ出し、協力を仰ぐしかありませんわね。)
四聖蛇公なる世界蛇の尖兵は既に二体倒されている。残す敵は四聖蛇公を先導するリーダー格の男型、そして女型の巨大バサミを武器とするものだ。
(見つけなければ.......)
攻撃力に特化した職業適正者に世界蛇本体への攻撃を集中させる。
「あの化物を討伐するにはその方法しかない。」
そしてアスラウグは後に二人の勇士と出会う事になる。剣帝ディートリヒ、斧使いスケッゴルドだ。両者は四聖蛇公のまとめ役である『へヴリング』と対峙していた。
(なんと言う凄まじい戦い..........)
並の戦士ではない。ヴァルハラ大陸でも上澄みの戦いだ。凄まじいの一言に尽きる。二人はボロボロの状態になりつつも、見事な連携でヘブリングを下した。
「はぁ......はぁ...........勝った......勝ったぜ、ディートリヒッ!」
斧使いは喜びからか、力が抜け、その場で尻餅をつく。それを優しい笑みを浮かべながら剣を鞘へと戻し、手を伸ばす剣帝。
「うん、僕たちの勝利だ。」
英雄譚の一部を見た。そう表現するに相応しい光景であったとアスラウグは後に語る。
「_____________仲間にしてくださいまし。」
二人の前に飛び出る。そして頭を下げ、懇願する。
「君は........そうか。この混沌とした世界でもまだ戦う意志がある。戦う覚悟は出来ているのかい?」
ディートリッヒはアスラウグの瞳の隠れる闘志を見透かし、そう言葉を返す。
「戦えますわ..........お二人方の勇姿を見て確信しました。貴方方こそが世界蛇を討伐せし勇者となる。わたくしはその手助けがしたい。」
「本音は?」
「使えそうだから使ってあげますわよ?」
ディートリヒはクスリと笑うと、君、採用!とアスラウグへと親指を上げた。スケッゴルドは呆れた様子ではあったが、アスラウグを受け入れ、世界蛇の頭部がある方角へと三人は進む。
「お父様.....ごめんなさい.......ごめん、なさい.........」
「ドーヴァ.....我が息子達よ......何者にも害されない静寂の中で.......お前達と......」
剣聖と斧使いと協力し、世界蛇の核と四聖蛇公最後の一人ドーヴァを下す。そして本体へと主導権が移り、防壁が消失する。動きは鈍く、大きな標的だ。だが屠るには大火力が必要なとなる。
「後事は任せたぜ.....相棒。」
メインストーリーの攻略対象はグローアである。そして、ブリュンヒルデが主人公であるニーベルンゲンの災厄の歴史と繋がるようにストーリーは構成されている。
「スケッゴルド..........バカ野郎.........」
ヨルムンガンド(本体)との戦闘で最後まで生き延びた剣聖ディートリッヒ・ベルン。スケッゴルドは命を捧げ、覚醒の先を使用したのである。
「戦士の誉れを体現した英雄。斧使いスケッゴルドの武勇は未来永劫、我らが世界に伝え聞かせなかえればなりません。」
スケッゴルドの手により、世界蛇の核は本体ごと一刀両断され世界の危機は過ぎ去ったのである。
「アスラウグ、その役目は君に任せるよ.......僕にはまだ、やることがあるんだ。」
「...........ラグナロクの再来、最後の獣フェンリルですわね。」
「この戦いを終わらせて来るよ。もう、誰も悲しまない世界を手にするんだ。そう、スケッゴルドと約束をしたからね。」
ベルンはアスラウグとの別れの挨拶を済ませ、フェンリル討伐隊を組むクラキ国軍へと合流することになる。その結末は一作目で説明したように、フェンリルに致命傷にも近い傷を負わせ勇者に後の任を任せ、戦死したのである。
「_________________聖女を信仰する形で国を建国することで国民に生きる希望を与えたか。頭が回る奴がヴァルハラ大陸を支配するらしい。」
新聞の記事を読みながらグローアはアスラウグへと話し掛ける。ようやく動けるまでに回復したグローアは現在、再興したロズブローク家にて世話になっていた。
「いいことではありませんか。冥界の女王との戦争で貢献した元アルフヘイム国の英雄王なのです。聖女の後ろ楯もありますし、スケッゴルドやディートリッヒ、そして皆が守ったこの世界は良き方向へ進む事でしょう。」
グローアはアスラウグのその台詞に目を閉じ笑うと、そうだなと窓から覗く空を見上げるのだった。そして外伝ストーリはここで幕を閉じるのだ。




