助太刀の暗黒騎士
「______________僕は師匠を守る。」
白色だった戦闘装束は漆黒へと染まる。そして髪を掻き上げ、魔力で固定した。髪で隠れていた鋭い剣士の眼光が顕になる。
「うんうん。『私』をしっかり守ってくれるね。最初の命令だよ、剣帝。フェンリルちゃんと協力して冒険王を亡きものにしてくれるかな。彼は神聖国の裏切りものでね、是非とも殺して欲しいんだ。」
スクルドの前に跪き、服従のポーズを取る剣帝。
「やめろ、ディートリヒ!!それはジークフリートでは断じてないッ!!!」
「こらこら、余所見は止さぬか冒険王。わっちとの戦闘に集中せえ。萎えるであろう。」
その光景をグローアは目にしてしまう。今すぐにでもディートリヒの元へ駆けつけたいが、目の前の銀狼に邪魔をされて、身動きが出来ない。
「さて、私はそろそろ本命の元に行くとするよ。フェンリルちゃん、此処は君に任せるけど、倒せるね?」
剣帝の肩に手を起きながら、フェンリルへと尋ねる。
「__________わっちを誰と心得る。それに剣帝もこちら側の陣営となったのであろう。ならば余裕よ。」
「油断は禁物だよ、フェンリルちゃん。その子は冥界ヘルヘイムでヘルちゃんと対峙して生き伸びた。そして、君の弟、世界蛇を殺した戦士の一人でもある。強い。断言するよ。」
スクルドは釘を差す。冒険王は幸運もあるが、此処まで一度たりともジークフリート同様に死んでいないのだ。
(彼には何かがある...........私にもわからない何かが.......)
原作には登場していないキャラクター。未知数であるゆえにスクルドは対戦を避けたいのである。
「我が弟達と対峙して尚も死んでいないか。ふふ、ふっはは!良い、良いぞ、そなた。益々気に入ったわ!剣帝、連携してこの者を討つぞ!手加減はなしだ!」
「僕は師匠だけの剣だ。家畜風情が僕に指示を出すな。グローアを斬る前に屠ってやってもいいんだぞ?」
「おうおう、威勢がいいことで何よりでありんす。」
グローアは冷や汗を流す。この状況は非常に不利であり、両者は戦う者として超越者たちだ。
「はは、面白い...........」
だが、その口許は笑っていた。
(あぁ、畜生........おれって奴は...........)
どうしようもない程に、男は冒険家であり、戦士であった。
「無理難題を乗り越えてこその冒険者だろう、か。ジークフリート............その言葉の通りだぜ、まったく。」
「______________わたくしをお忘れでなくて?」
暗黒騎士の甲冑を纏った女戦士が黒馬に跨がり、戦場に姿を現す。
「聖女のもとへ向かおうと馬を走らせておりましたが、状況が状況ですわね.............グローアさん、お一人では荷が重いでしょう。助けて差し上げましょうか?」
わざとらしく手を差し伸べるアスラウグにグローアは苦笑する。
「相も変わらず口が回る女だ..........だが、心強い。」
グローアの返答に満足したアスラウグは黒馬を降り、冒険王と並び立つ。
「さぁ_______________行きますわよ。」
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