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王の剣となるべく

「_____________いる。あの燃え盛るヴァナヘイムの中に奴らは存在する。」


グローアはオーディンの加護の一端を使い、ヴァナヘイムの中に息を潜める者がいることを感知する。


「グローアって本当に器用美人だよね。なんでも出来る万能型って感じ。」

「剣一本に特化した最強職に言われても皮肉にしか聞こえんな。」


これが恐らく神聖国を真に脅かす最後の敵となる。


「グローアも最後くらいは覚醒能力を使ってみたら?多分.........この戦いは僕たちが全力で戦える最後の戦いなるんだからさ。」


この戦いに勝利すれば長い未来、平穏な世の中が続くことになる。それは戦闘を好む二人からすれば窮屈な世界になることは分かりきっていた。


「その機会があればな。俺の戦闘スタイルは聖剣が主体だ。それに、冒険王の覚醒能力は知っているだろう。そう易々と選べるものでもない。」

「冒険王の覚醒能力って...........」


冒険王の覚醒能力は他職の覚醒能力を二つ使用出来るというものだ。ただし、生涯、選択した二つの覚醒能力は固定され、変えられなくなる。


「各覚醒能力は一日に一度ずつしか使えんしな。」


一日に各覚醒能力を一回だけと使用限界が設けられているのはやはり厳しい。


「確か.......師匠の方は他職の覚醒能力一つだよね。」


ジークフリートの司る職業適正『冒険者』は『冒険王』の下位互換である。


「そうだ。それも冒険王同様に一日一回と言う使用限界がある。」

「うげ、グローアたちの職業適正って実はハズレ職業なんじゃ..........」


グローアはディートリヒの反応に苦笑する。


「そうでもない。俺は下位から上位職の基礎能力を模倣できるし、覚醒能力はおまけに過ぎん程度の感覚だ。ジークフリートは下位職の基礎性能の模倣を可能とするが、戦上手だったろ。覚醒能力なんてものは付属品程度にしか思っていないと思うぞ。」


ジークフリートは火力はないが、負けない戦い方を熟知している。強くはないが、決して弱くはない。


「まぁ、神聖国王の職業適正が冒険者というのは少し肩透かしだとは思うがな。大陸の支配者ならば民衆は七英雄や武勇に優れた職業適正を期待するだろ?」

「だからこそ、僕たちがいるんだろう。師匠の弱さをカバーするのも王の剣の役目だ。」

「俺はあいつの剣になった覚えはないがな。」


二人は剣を鞘から抜き、此方へと近付いてくる一つの巨大な気配に備える。



「_______________逝くぞ、勇者たちよ。」




空中から目の前に降って来た銀色の髪を靡かせた美しい少女はニィと笑みを浮かべ、短剣二丁を異空間から手元に取り出し両者へと向ける。

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