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出陣の刻

ふざけた話だとアスラウグ・ロズブロークは神聖国兵より届けられた報告書を握りつぶす。


(_____________聖女ブリュンヒルデを受け入れる。そんなバカな話がありまして?あの女はクラキ国との大戦にて我らに牙を向けた大罪人。それを今さら受け入れることなどあってはなりません。)


そもそも同士である道化師ロキの命を蝕み、寿命を大きく縮めた要因は彼女にあるではないか。


「そのような危険人物を何故、今更になって庇い立てするのでしょうか...........」


愛敬するジークフリートの命とは言え、理解に苦しむ。


「..............ジークフリート様はお忘れのようですわね。我が職業適正『暗黒騎士』の本髄を。」


封印と吸収(ドレイン)を備えている。


(覚醒能力を封じる。そして覚醒能力が働いている間は敵対している者の生命力を削り、わたくし自身へと還元される。)


自身の能力を知るものはそう解釈しているだろう。確かに間違ってはいない。だが、勘違いをしている点が一つだけある。


(相手の覚醒能力を封じる。これは覚醒能力発動時だけの話だけではありませんの。)


それは暗黒騎士の基礎能力に過ぎず、覚醒能力はドレインがメインであるのだ。


(まぁ厄介さを考えれば、覚醒能力の封印が主体に写るでことでしょう。)


十解序列第一位『道化師』が七英雄『聖女』を殺したとクラキ国との大戦後に民衆には伝えられた。それは本人の口からも十解に対し、報告されている。


「ロキさんが見間違う筈がありませんわ。眉間を短剣で穿ち、刺殺したならば、確実に聖女は死亡している。」


あの方はジークフリート様の為であれば目的をどんな形であれ確実に成し遂げる。ならば考えられる可能性は聖女という職業適正に死から蘇る何かしらの能力が備えられていたいう真実だ。


「殺しても蘇る。覚醒能力の効力なのか、それとも聖女の特性なのか.................何れにせよ、わたくしには彼女を封じる込める術がありますのよ。」


暗黒騎士の黒鎧を装備し、戦準備を整える。側使いは慌てた様子でロズブローグ領の兵士達を召集し始める。


「ジークフリート様........申し訳ありませんが、わたくしは聖女ブリュンヒルデを殺すべき対象であると考えております。」


持ち運べるだけの人造魔剣を魔法袋へと収納する。


「覇王や現世界樹の守り手も何れはこの手で.........」

(ジークフリート様の寵愛を授かるのはわたくし一人で良い。)


他の誰にも譲らない。譲りはしない。ジークフリート神聖国王の王妃となるのはアスラウグ・ロズブロークのみだ。


「第二婦人や妾もわたくしは許しませんことよ。貴方様の愛を一身に受けるのは一人で十分なのです。」


ドワーフに提供された透明の鎧も上から装備し、戦準備は整った。


「______________出陣の刻です。」


そしてロズブローグ邸外へと足を踏み出すと、彼女が率いる神聖国兵が隊列を成し、出陣の時を待っていた。


「出でよ_________我が眷属、漆黒の黒馬よ。」


召喚陣に手を翳し、愛馬を召喚する。漆黒の黒馬の名の通り、美しい黒毛の黒馬が出現する。黒馬は数多のルーン魔術を付与された装飾品らを装備し、極限までに戦闘に特化した戦闘馬に改良されていた。


「我らが討ち滅ぼさんとするはクラキの亡霊、聖女であるッ!!!そしてそれに追随する古の魔術師並びにラグナロクの再来、フェンリルッ!!これらを滅し、神聖国に永劫なる平和を築きあげようぞ!!!!」


神聖国兵を鼓舞するように声をロズブローグ領全土に届くように響かせる。兵達はおぉおおおっと雄叫びを上げ、進軍を開始した。

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