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往くぞ_____

「_______________ヴァナヘイム領は燃えている。」


スキールニルはトゥーレの玉座に鎮座するジークフリートへと報告する。


「燃えている.........未来予知で視えたのか?」


スキールニルの言葉に眉がピクリと動く。


「あぁ、街は完全に炎に包まれ住人はもれなく死亡している。原因を調べる為にロキが先行してヴァナヘイム領地へと向かった。」

「何故それを早く言わなかった......ヴァナヘイム領には確か、新たに十解に加わったヴァリとソルが駐留していた筈だが、あいつらは無事なのか?」


スキールニルは首を横に振り、わからないと口にする。スキールニルの未来視さえも阻む敵と言うことか。


(フェンリル討伐がスローライフ計画最後のタスクだと踏んでいたが、読みが外れたようだな。)


ロキの帰還を待ち、情報の整理をしなければならない。


「____________クリームヒルトとアスラウグに作業を引き継ぎさせ、ディートリッヒとグローアを召集してくれ。」


上記の四名、そしてバルドル領地へ帰郷(隠居)してしまったヘズ以外の十解とはここ二日程、連絡が取れていない。


「ハーラル達、完全に殺られてるな。」


表情を察してか、スキールニルはそう口にする。


「あぁ........最悪だ。何の為に武闘大会を開いたと思っている。人員が半数近く減っているんだぞ。」


十解クラスの戦士はそうそう集まらない。そして各戦士は一騎当千の実力を持ち、そんじょそこらの有象無象に易々と殺される程、弱い実力も持ち合わせてはいない。故に敵が強大であることは予測できる。





「______________ジーク、フリート、今、戻った、よ、」





玉間の扉が開く。姿を見せたのはヴァナヘイムから戻って来たロキであった。ロキは胸を抑え、尋常ではない汗をかいていた。


「うぐっ、」


そして、その場にて力が尽きるように膝をつく。


「ロキッ!!」


ジークフリートは直ぐにロキの元へと駆け寄り、支える。


「何があったんだ、ロキ。話してくれ。」

「..............うん、気を失う前に全て話す。僕達が闘うべき最後の敵について。」


ロキはヴァナヘイムで見た全ての事を説明した。ヴァナヘイムで殺された新人の十解二名、そして住人の大量虐殺。最後には火を放ち、ヴァナヘイム領全土が燃え盛っている最悪な現状を。


「銀狼はスレイプニルの封印から解かれてる。」


人間の姿に擬態していた。そしてラグナロクの化物と行動を共にしていたのは聖女ブリュンヒルデであった。


「...........生きていたのか。」


予測は出来た。彼女こそがこの物語の主人公。簡単に死ぬようなネームドキャラではない。


「そして二人を率いていたのが..........黒髪の女魔術師だった。正体はわからない。だけど、どこかで見覚えがっ........」


ロキは胸を抑え、苦しむ。ジークフリートはロキに背を擦りながら、塔使い達に安静出来る場所に連れていくように命じる。


「.............ジークフリート、僕、限界だ.......少し.......眠る.....ね....手伝えなくて......めん......直ぐに......起き.......から.............」


限界が訪れたのか、深い眠りにつくロキ。


「無理するな。後は俺達に任せて眠ってろ。」


ロキの頭を撫で、塔使い達に慎重に運ばせる。


(ヴァナヘイムから情報を持ち帰る為にロキは再び命を糧に覚醒能力の先を行使した...........)


全てはジークフリートの進むべき道の障害を取り除く為に。



「ジークフリート..............分かってはいると思うけれど、道化師の命は長くないぞ。」



スキールニルは未来を見据え、ジークフリートへと忠告する。


「酷使し過ぎだ。お前のお気に入りなのは分かるが、もう、無茶をさせる程の力も残されていない。」


聖女との戦いで大幅に減らした寿命。


「次に目を覚ましたとしても身体は恐らく、動かないだろう。」


そして再び、覚醒能力の限界を越えた使用でロキの身体は限界に達してしまった。


「...........あと、どれくらい生きられる?」


一年間か、数ヶ月か..........ロキには大きな大恩がある。出来る事ならば少しでも長く生きていて欲しい。残りの時間はロキに捧げる。捧げなければならない。それ程までにロキという友は自分に尽くしてくれた。こんな下らない男に付き従ってくれたんだ。


「もって........二日だな。」


拳を血が出る程に握り締める。そして下をうつ向く。


(あと二日..........)


.........ふざけんな。まだ、何も恩を返しきれていない。何時だって側にいてくれたのはお前だったんだ。


「は、はは...............っはは、ばかだよ、おまえは...........」

(神聖国を離れて田舎に逃げても、お前は平然とした顔で自分の隣にいただろ。それで今度は何をするつもりだいなんて意味深な事を聞いてきてさ........)


ジークフリートは顔を上げ、何かを決意したように前を向く。


「...........ブリュンヒルデの事は俺に任せてくれ。彼奴は多分、俺が行けばこちら側に引き込める。あいつ.........バカだからさ、流されやすい性格してるんだ。それに妄想も激しくて自分でも多分なにしてんのか分かってない。」

「三三三............ジークフリートはそれでいいのか?」


主人公のせいで色々と巻き込まれはしたけれど、同じように沢山の出会いもあった。何を意固地に仲間外れしてんだ。


「いいもなにも、始めからこうしていれば良かったんだ。」

(..............情けないな。ロキの事だってブリュンヒルデを最初から仲間に引き入れていればこんな事にはならなかった。)


全ては俺のせいだ。ブリュンヒルデのせいなんかじゃない。


「この世界は彼奴を中心として回ってる。俺じゃない。」

(お前は俺の選択に反対すると思う。お前の寿命を削ったのはこの世界の主人公ブリュンヒルデだ。だけど............彼奴を仲間にしないと、この先、神聖国は、ヴァルハラ大陸は真の平和にならない。俺が曲げないと彼奴はいつまでも執着して世界に混沌を生む。)


だから、俺自身がこの戦いに終止符をうち全てを終わらせなければならない。女魔術師という不確定要素を取り除けば世界の歯車は再び正常に動き出す。


「_____________フェンリルを狩り、女魔術師を処刑する。恒久的平和に邪魔な障害は取り除く。大陸間戦争の時と同じ話さ。」


スキールニルはジークフリートを鋭い眼光で見る。だが、直ぐに目を閉じ「分かった」と承諾した。


「俺は三三三の願いを尊重するだけだよ。」

(俺の使命は自身の意思に関係なくジークフリートと言う男に付き従うことだ。例えそれが曲がった事であれ、最悪な未来が待ち受けようとも、ね..........)

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