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フェンリルの実力

ヴァナヘイム城、王の書斎にて_______


「漸くヴァナヘイムも軌道に乗って来たな。」


赤髪の右腕であるポニーテールは嬉しそうにそう言葉にする。


「神聖国、だろ。まぁ確かにポニーちゃんの言うとおり、元四体国間の国交整備も順調だし物資の循環も良好。大陸統一さまさまな現状なのはヴァルハラ国民全員が肌で感じてる筈だね。だけどやっぱり俺は時々思うよ.......こんな平和でいいのかなってね。」


ポニーテールは赤髪の言葉に笑う。


「冒険者家業は廃業。心踊る戦いが出来る戦場も残り少ない。だがそれで良いじゃないか。少なくとも俺達の世代は磐石な平穏が約束されている。未来の為に出来る事をするのが俺達の役目なんだ。いつまでも少年のままではいられないさ。」


ポニーテールはそう言うが、赤髪は眉間に皺を寄せていた。


(ポニーちゃんの言うとおり、平穏な日々を手にする為に神聖国王は大陸を統一した。そして俺は運良く武闘大会を制し、十解の立場を得られた。まぁ桜髪との決着はいずれつけなきゃならんが...............だが、俺達には使命が残されてる。ポニーちゃんにも言っていない神聖国最後の目的。)


_________銀狼フェンリルの討伐。ラグナロクの再来、最後の一柱。最強最悪の国喰い狼。世界蛇出現の被害よりは軽度なものとなるだろうが、単純な戦闘能力、そして破壊力が他の二体を大きく凌駕すると神話では言い伝えられている。


コンコン


書斎のドアが叩かれる。


「_______________何用だ?」


城勤めの使用人だろうとポニーテールは声を掛ける。


「緊急の報告がありんす。」


ドアが開けられる。そして完全に開いた扉の先にいたのは銀髪の若く美しい少女だった。


「おいおい、使用人の子供か?此処は勝手に入って来ていい場所ではないぞ。」


ポニーテールが銀髪の少女を追い出そうと近付いていく。


(お、おいおい...............なん、だよ、こいつは?)


少女に近付いていくポニーテールの背中がスローモーションに写る。冷や汗、そして恐怖が全神経を逆撫でする。目の前に存在する少女は人間ではない。そう脳が危険信号を鳴らした刹那、赤髪は立ち上がり叫んだ。



「ポニーちゃんッ!!!逃げっ______________」



警告をする前にポニーテールの上半身が消失する。銀髪の少女は歪な程に頬を吊り上げ、邪悪に嗤っていた。


「自分がまだ生きているとでも思ったかや?」


赤髪は対抗するために動きだそうするが、身体が動かない。何故ならば、右半身が消失しているからだ。


「死に気付かぬままに絶命したか。」


ちょんと人差し指で赤髪の残った左半身を押すと地面へと倒れ、血だまりをつくった。


「_________うわっ、ちょーグロいんだけど!」


駆け付けたブリュンヒルデが惨状を見てそう言葉を漏らす。


「ザクロのようで綺麗じゃろ、にっしし。」


悪戯をしたように笑うフェンリル。ブリュンヒルデはおぇとわざとらしく反応をする。


「さて、一人は喰い潰したぞ。次の標的はあの建物にいるのでありんすな?」


次の殺害対象は神聖国兵派遣所の副督をする元「s」級冒険者【蒼髪】である。


「うん、ちゃっちゃっとやって夜ご飯にしよう!」

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