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始めよう

元クラキ領から元ヴァナヘイム領まで一刻もしない間に辿り着く。馬車を使えば数週間掛かる距離をフェンリルを馬代わりにすることで時間を短縮したのである。


「.......す、凄いね、フェンリルって........速すぎてっ、うぷ、おええええええええええええ」


ブリュンヒルデはフェンリルから降りると、ゲロをぶちまけた。反対にスクルドは飄々とした表情でフェンリルから下降する。


「スクルドはなんで、おえ、そんな、平然としてられるのぉ?」

「いや、普通にルーン魔術で防壁張っていたからだけど。」


当然のようにそう口にするスクルド。


「なら、ブリュンヒルデにもかけてよそれぇええええおおおおおおろおろろろろろっろ」


怒りよりも吐き気が勝る。


「そら、水じゃ。情けないの。それでも今代の聖女か、ブリュンヒルデ。」


人間体に戻り、水筒を投げ渡される。ブリュンヒルデはそれをキャッチし、口へと含むと再びリバースする。


「一気に飲もうとするな、たわけ。」

「う、うん........ありがとぉ、フェンリルぅ。」


背中を優しく擦られフェンリルに看病をされるブリュンヒルデ。その二人の様子を見てスクルドは小さく笑う。


(主人公と最終章のボスが姉妹みたいに仲良くしている.........感慨深いものだね。)


スクルドは目を閉じ、身体をヴァナヘイムへと向けた。そして二つの杖を両手に出し、二ヶ所へと向ける。


「『神聖国兵派遣所』、そして『ヴァナヘイム城』。蒼髪くんと赤髪くんはこの二点にいる。」


再び目を開き、そこに標的がいることを告げる。


「あぁ、それといいニュースだ。もう一人の十解、桜髪ちゃんがヴァナヘイム領に戻って来ているところだよ。フェンリルちゃんが二人を片付けた頃にはちょうど旧ヴァナヘイム王都に足を踏み入れている筈だ。ついでに片付けちゃおうか。」


ブリュンヒルデは大分落ち着いたのか立ち上がる。そしてフェンリルと共に三人は元ヴァナヘイム領を一望した。


「暴れても良いのか?それとも街への被害を最小にして戦うか。」

「出来れば最小にして貰いたい。まだ、残りの本当の十解達には気付かれたくないからね。」


フェンリルは了解したと言うとヴァナヘイムの街へと最高速で飛び込む。

「ブリュンヒルデちゃん、桜髪ちゃんは結構強いしド派手な戦闘スタイルだから、ちょっと戦場を整える為に下準備に取り掛からせて貰うね。フェンリルちゃんにはその事を伝えて貰っていいかな。」

「............うん、分かった。じゃあまた後で合流で。」


スクルドはカーテンを閉じるようにその場から消える。一人ポツンと残されたブリュンヒルデはフェンリルの後をゆっくりと追うのだった。

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