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聖女の全て

ジークくんはブリュンにとっての全てだ。


(例え刃を交えようともその感情は変わらない。変えられない。)


ジークフリートは命の恩人であり、この命を捧げるに値する特別な人。


(神聖国がなんだ。十解がなんだ。始まりはブリュンヒルデじゃないか。)


この聖女の力も身体も、心も全て上げると言っているのになんで貰ってくれないのだろう。


(十解に加わって欲しいと一言声を掛けて貰えれば喜んで力になると言うのに、声は掛からなかった。)


それがどうしようもなく悔しくて、恨めしい。何故、アスラウグ先輩やクリームヒルト、それにエイル副会長が良くてブリュンヒルデはダメなんだろうって。


(そんなネガティブな感情を振り払う為に世界蛇の被害を受けた地域を転々と周り、癒して回った。)


けれど心の闇は晴れることはなかった。ならば簡単な話じゃないか。彼をもっと知るために尾行し、監視しよう。


(____________そして壊してやろうと行動に出た。)


一からやり戻すには環境そのものを破壊する必要があった。だから、クラキ国を焚き付け、ブリュンに恋心を持つ男達を使いトゥーレへと侵攻した。


(結果はこの通り、大敗してブリュンヒルデは死んじゃったんだけどさ。)


はぁ........なんかもうどうでも良くなっちゃったなぁ。枷が外れたように軽いしもう少し眠っていたい。どうせ、ジークくんとはもう会えないんだから。



「____________おや、ようやくお目覚めかい?」



パチリと目が開く。心地よい風が肌を通る。窓からは暖かい日差しが指し、顔を傾ければ美しい黒髪の女が微笑んでいた。


「ここは.........ヴァルハラ?」


自分はヴァルハラへと誘われたのだと錯覚する。


「あはは、嬉しいことを言ってくれるね。だけど残念。ここはアルフヘイムにある宿屋の一つだ。」


黒髪の女は立ち上がると水魔法で水をコップへと流し込み、ブリュンヒルデへと差し出す。それを手に取り込り、乾いた喉を潤す。


「私の名前はスクルド。君を助けた旧時代の魔術師だよ。」


女は自身の事を魔術師と名乗った。

「............魔術師。」

(この人.......強い。抑えているけれど、魔力の張りが並じゃない。)


女魔術師は目を細め、優しく微笑を浮かべる。


「そう警戒しなくてもいい。君を襲うものはここにはいない。例えいたとして私たちが君を守るよ。」


頭を撫でられる。何処か恥ずかしくて目を瞑ってしまった。


(.........自分は死んだ筈なんだ。首を穿たれたあの感覚は未だに覚えてる。この人は誰.......一体あの戦いの後に何があったの?

)


ダメだ.......何も思い出せない。あの道化師との戦闘で敗北した事は身体が覚えている。だけど、どうやってあの致命傷から生き返った?冥界の女王は世界蛇によって冥界へと封じ込められた。ネーデルラント家の秘宝をシグルド会長が使ってくれた?それも可能性としては低い。恐らくエイル副会長との戦いで使用せざるを得ない状況の陥った筈だ。


「ブリュンヒルデちゃんは死んだよ。完全にね。」

「.........ブリュンの事を知ってる、の?」

(............それに完全に死んだ?あの道化師の事だからこういう事が起きないように肉片残さずに遺体を処理すると思うけれど。)


水を再び口へと含み、思考する。そんなブリュンヒルデの表情を察したのか女魔術師は事のいきさつを話始める。


「ブリュンヒルデちゃんは七英雄の一角で、大陸民の英雄だ。人を癒して回っていた時期があっただろう。七英雄の中で一番と顔が割れているのは恐らく君だ。そしてブリュンヒルデちゃんが一番と疑問に感じている事を答えるのならば、私が君を助けた。」


女魔術師はベッドへと腰掛け、言葉を続ける。


「もちろんさっきも言った通り、ブリュンヒルデちゃんは死んだよ。だから私が彼らに君の死体を回収される前の回収させて貰った。」

「...............目的はなに?」


ブリュンヒルデは警戒とした様子で女魔術師を睨み付ける。


「怖い顔をしないでくれるかな。私は一応、君の命の恩人にあたるのだから。」


女魔術師は苦笑をしながらごろんとブリュンヒルデの膝元に転がる。そして彼女を見上げこういうのだ。


「ジークフリートの事をどうしようもない程に愛しているのだろう?ならば手伝って上げる。だから見返りに私達を手伝って欲しい。」


女魔術師の瞳の奥に渦巻く闇が見えた。


「貴方も欲しい男がいるんだ。」

「うん、そうだね。どうしても手に入れたい男がいる。その為には現十解が本当に邪魔なんだ。だから、神聖国王と元アルフヘイム国王以外の十解を冥界送りにしようと考えてる。」


女魔術師の大それた発言に目を大きく見開く。


「........貴方と私でってこと?」

「いいや、もう一人........協力者はいるよ。そら、隠れてないで出てきたらどうなんだい、フェンリルちゃん?」

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