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勝つのは私だ

「まぁ、私がこの物語の黒幕になるとは言えそこまで念入りに計画を練っている訳でもないんだよね。」


スコーネの女王スクルドは己の古城にて優雅に紅茶を嗜む。


「如何にもなムーブをしたけれど、別に目的は一つだし。それ以外の事はどうでもいいんだ。寧ろ、聖女ちゃんとフェンリルちゃんの願い事があるなら叶えて上げたいなくらいの余裕はある。」


彼女の眼前にはフェンリルも座り、茶菓子を美味しそうに頬張っていた。


「もぐもぐ.......ごくっ。そなたは先程から一人でぶつぶつと何を言っているでありんす。」

「私的には君に話していたつもりなんだけどな。そんなにお菓子が美味しかった?それ、実は私の手作りなんだよ。気に入って貰えて何よりだよ。」


長いテーブルに座るのはスクルド、フェンリル、そして蒼いドレス装束に身を包む聖女の三名。周囲には複数人の待女が控える。


「それで、フェンリルちゃんは何か願い事があるのかな?せっかく協定関係を結んだのだから、最大限の助力はさせて貰うよ。」

「フェンリルちゃん言うな。まぁ、わっちとて欲はありんす。ありんすが、先ずは言うべき事があるであろう。そこに座る人間の小娘はなんだ?」


スクルドは隣に座る聖女を指差し、この子の事を聞いているのかいとフェンリルにわざとらしく聞く。フェンリルは溜め息を吐き出しながらもそうだと答える。


「七英雄の一人『聖女』だね。大国間での戦争で一度死んでしまってね。復活はしたものの覚醒までのインターバルが必要なのさ。だから、私が甲斐甲斐しく世話をしている。」


復活という言葉にフェンリルは眉を曲げる。


「あぁ、聖女の生態は誰も知らないだろうから君だけには説明をしておくよ。一応言っておくと、この子は君を単体で葬れる者の内の一人だ。頭は弱いけれど、戦闘力は勇者に近しい実力を持つ。そして、寿命以外では聖女は死なない。死ねないといった方がいいかな。世界に祝福された『主人公』だからね。」


世界に祝福された主人公。この物語の核である彼女は死ぬ運命にないのだ。


「封印術で封じ込める以外に弱点はないということでありんすね。」

「そうでありんす。」

「喰い殺されたい?」


クスクスとスクルドは微笑むと、席を立ち上がり窓際へと近付く。


「冗談はさておき、この子は私達の仲間にする。神聖国......十解や神聖国王と対峙するには彼女の力が必要になるからね。」

「わっちやそなただけでは足りんと言うのか。」

「ぜんぜん足りないよ。十解全員で連携を取られたら私達は完全に負ける。だから一人一人倒していかなければならない。」


スクルドは月を眺めながらフェンリルへと語り掛ける。


「________それとスキールニル王のお相手は私がするから手を出さないでね。彼は私のものだもん。どこの世界にいっても絶対に逃さない。そう決めているんだ。」


フェンリルはぶるりと身体を震わせる。


(この人間の目的はそいつか...........同情せざるを得んな。このような頭の可笑しい人間に好かれてはな。)


フェンリルはおほんと咳をつき、スクルドへと声を掛ける。


「ならばそれ以外を殺戮すれば良いでありんすね。」

「うーん......それはダメ。神聖国王もちゃんと生かして置かないと。」


月に向けていた視線を聖女ブリュンヒルデに向ける。そして髪へと優しく触れ、微笑む。


「その下準備として神聖国を見て回らないといけないんだ。確実に十解を殺すには有利に動かないといけないからね。」


罠を仕掛ける。簡単な話である。相手は一騎当千なれど、人間に過ぎない。ならば殺害しやすい環境を作り出し、確殺する。


「そなたから貰った資料には目を通したが、剣帝や冒険王、覇王以外の戦士は警戒に値せんな。最初の標的は誰だ?いっそのことその三人以外の十解を一気に殺して見せようか?」

「あはは!勇ましいね、フェンリルちゃん。だけど、無理じゃないかなぁ。黒騎士ちゃんとパリィちゃん、そして火力の拳刃士になぶり殺しにされるよ。一人ずつ、堅実に狩っていこう。」


リスクは極限に控えるのがもっとうだ。成功率を上げる為に私は行動するよ。


(山田廉太郎......異世界無双は楽しかったかい?もう充分楽しんだだろう。そろそろ交代しよう。今度は私の番だ。)


鴉羽三三三、いいや今はスキールニルかな.......本当は彼以外いらない。けれど、それでは世界が回らないので、神聖国王だけは生かさなければならない。


(本当に邪魔だよね..........生前も邪魔ばかりして鬱陶しかったもん。)


だけど、今回は殺して上げられないんだ。世界に必要な駒となってしまったお前は聖女の愛玩物として生かして上げよう。


「せいぜい愛されればいいさ。本望だろう。田舎でスローライフがしたいんだろう。大丈夫、その願いは叶えて上げる。とびきりの美少女だ。お似合いだよ。」


聖女ブリュンヒルデ。私は彼女を好ましく思う。一途で私と似ているもの。恋愛成就させてあげたいと切実に思う。


「ブリュンヒルデ、貴方もそう思うだろう?」

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