一緒にいさせて欲しい
僕はジークフリートの過去を知っている。僕はジークフリートの全てを知っている。だからジークフリートの未来が知りたい。彼の隣を歩いていたいんだ。
(ジークフリート・ネーデルラント。真名を山田廉太郎。輪廻よりこの世界へと甦った転生者。その本性が戦士や英雄ではなく、小心者であることは精神に触れて理解していた。)
そして彼がどうしようもない程に優しい男である事も。
(発言や思考で悪ぶることも多いジークフリートだけれど、困っている人がいれば愚痴を漏らしながらも最後には助けてしまう、そんな拗れた優しい青年なんだ。)
優しさを拭いきれない甘い人間。そんな彼を愛おしく思う。そしてついつい愛でて甘やかしてしまう。
(好きだ。大好きだ。僕のジークフリート。君だけが僕の在処なんだ。他の誰でもない君だけが僕へ手を差しのべ、友になろうと誘ってくれた。)
ジークフリートは僕のかけがえのない唯一の友達。他の奴らなんてどうでもいい。ジークフリートだけが僕にとってのヴァルハラであり続ける。
(彼が願う事があればなんだって叶えよう。ジークフリートが喜ぶ事は僕にとっても喜ばしいことなのだから。)
この身も心も全てジークフリートという人間に帰属する。だから彼が寿命を迎えるまで共に在りたかった。だけどそれはもう叶わない夢だろう。
(恨めしいよ..........オーディン。君のせいで僕の寿命は大幅に削られた。)
アングルボサの呪いに人類が対抗出来るように職業適正などとふざけた制約を遺産として残した大神オーディン。
(そのせいで僕たち生き残りにも能力制限が掛かり、ラグナロク以前の本来の出力を出すことが不可能になってしまった。)
職業適正を覚醒させ、寿命を削りその先へ足を踏み入れなければ本来の力に近づくことすら出来ない。聖女との戦いで寿命を消費し過ぎてしまった。恐らく僕が生きられる刻は10年にも満たない。
(嫌だ。ジークフリートと離れたくない。死んでも一緒にいたい。君と僕はずっと一緒だ。友とはそう言うものだろう?)
太陽へと手を翳す。
(君は僕にとっての太陽。僕の世界に光を与えてくれた。)
太陽へと翳した手を閉じる。
(ひっひ......ラグナロク以前の僕が今の姿を見たら驚愕以上に殺意を覚えるだろうね。)
ジークフリートの願望を叶えるべく僕を含めた十解の手で神聖国を建国し、世界を統一した。残す作業は銀狼フェンリルを討ち滅ぼし、代わりの王を立てること。
(代わりの王を立てるという部分は一部の十解しか知らせていない。)
その後はジークフリートと一緒に田舎でスローライフを送ろう。君は恐らく自分一人で姿を消すつもりだろうけど、そうはさせないよ。僕は絶対についていく。何処までも。
(余生の全てはジークフリートと一緒にいたい......それくらいは許してほしいな。)
僕、結構頑張ったと思うんだ。
「君が誰であろうと僕は君に付き従う。だって僕達は__________」
だから、そのご褒美として最後まで一緒に居させて欲しい。
「_________________友達だから。」




