決勝戦
「決勝戦だよー!早く闘技場の中央に集合ー!」
やる気のない叫び声と共に桜髪と赤髪が闘技場へと姿を現す。
「__________魔法袋みたいな小細工が私に通じると思わないことね。」
開口一番に赤髪に忠告する。
「安心していいぜ。あれは初見殺しだから通じる裏技だ。手品が割れた今、アンタには使わねーよ!」
片手剣を鞘から抜き、構える。桜髪もメリケンサック型の短刀を両手に装備し、右拳を前へと突き出す。
「アンタはさっきの新人と違って戦い慣れしてる。手加減無しでいくわよ。死んでくれないでね。」
桜髪の表情から笑みが消えた。
(集中力、それに殺気が痛い程伝わってくるぜ......)
赤髪は冷や汗をみせながら唾を呑み込む。
「______________両者とも準備は出来たようだね!それじゃあ、十解を決めるとしよう!」
既に夕暮れ時。大太鼓の代わりに闘技場外から花火の音が鳴り響く。そして音楽隊が闘技場の観客席に現れ、演奏を開始した。
「凄くない?音楽かっこいいでしょ?全大陸に生放送だしね!ちょっと豪勢に行って見ました!て言うか、花火って結構お金掛かるんだね........まぁでも十解の一人を決める大きな催しだし、贅沢に行こう.......って聞いてないか。」
ベルンは苦笑をしながら闘技場で剣を交える両者へと目を向ける。
「どうした!!どうしたぁ!!!あの蒼髪を倒した男にはしては威勢が足りてねぇーなぁ!!!!」
「ぐっ!!」
(このヒス女、この細い身体でどこからこんな力出してんだ!)
両者とも互いに魔力強化を行わず、素の力で戦闘をしているのだが、赤髪が押されていた。
「スピードも!力も!才能もぉ!!私はヴァナヘイムで最強なんだぁ!!!あははははっはは!!!!!」
拳が赤髪の頬を穿つ。
「痛ってぇ!!んだよぉ!!!」
だが殴られた勢いを逆手に、身体を回転させ、桜髪の顔面へと飛び蹴りを喰らわせる。
「がっ...............」
桜髪は二歩下がり、赤髪をただ見つめる。
「世界で一番気高く美しい女の顔を蹴ったな。」
冷静に、そして静かに呼吸をする桜髪。鼻から流れる血を拭い、拳が強く握られる。それもミシミシと音を立てて。
「お前、死ぬ覚悟は出来てんのか?」
殺気が先程の比じゃない。
「ごちゃごちゃ言ってねぇーで、掛かってこいよ_________ヒステリックおばさn」
身体に複数の打撃が直撃する。それも内蔵を破壊せんとするレベルの強さ。
「___________誰がおばさんだぁ、タコスケ。お姉さんだろうが?あぁ?」
血を吐き出し、その場へと倒れ、地面へと手をつける。
(やばい......多分、準決勝で使ってた空衝拳舞ってやつだ。ノーモーションで放てるなんて聞いてねぇーぞ、ちきしょうっ、)
桜髪がゆっくりとこちらへと近づいてきている。
(考えろ.......俺に出来る最適な勝ち筋を......)
ポニーテールに任せっきりであった思考回路を全力で起動させる。
(魔力袋は使えねぇ、片手剣使いの覚醒能力は論外.......通じるルーンを考えろ!!)
桜髪に慢心はない。迅速に勝敗を決しようとしている。
「_____________蔦しかないよなぁ?」
時間稼ぎの為に蔦を伸ばす。だが、蔦を踏み潰され、嫌な笑みを浮かべる。
「へへ、通じない事は分かってたよ。」
赤髪の右腕に刻まれたルーン魔術の一小節が緑色に輝きを発する。
「____________疾風ッ!!!」
倒れた状態からの超加速。
「ぐはっ、てめぇ、あぐっ、離しやがっ」
桜髪は対応出来ずに赤髪の突進を食らう。そしてそのまま壁へと衝突する。
「へ、へへ、どうよ、捨て身の攻撃だぜ?」
両者共に大ダメージを受け、壁に手をつける。
「痛ぇ...........舐め腐りやがって.........」
ツインテールがほどけ、髪が乱れる。桜髪は髪をかき上げ、メリケンサック型の短刀を水平に構えた。
「............空衝拳舞以外の覚醒技はあまり公衆で見せたくなかったけど........チッ............見せてやるよ..........」
桜髪の魔力に吸い寄せられるように空気中の水分がメリケンサック型の短刀へと集束していく。




