表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
303/381

引退?笑わせんな

蒼髪は右腕の出血へと目を向ける。


(情けねぇなぁ.......こんな若造に、こんな小細工で負けるとはな。)


面を上げれば剣が翳されていた。


「..........あぁ、お前の勝ちだよ。」

(いい引退試合だったかも、な。)


冒険者との戦いで冒険者の裏技で敗北する。悪くない終わり方だ。戦士としての感がやはり若い頃と比べると鈍っている事をよく実感した。


(機転を効かせ、勝利をもぎ取る。それこそが冒険者の本懐だ。お前ならば冒険者の意志と共に十解という頂き立つ事が出来るだろう。)


スヴィプダグ•グローアへと視線を向け、謝罪とした表情を浮かべる。


(すまねぇな。お前と肩を並べ今一度戦場で戦ってみたかったが.......どうやらこの老骨ではその頂きには届かないようだ。)


顔を下げ、立ち上がる。


「赤髪、勝てよ。お前が次代の英雄だ。」

「おっさん..........」


既に赤髪の勝利がアナウンスされた。敗者は去るのみだ。


「______________おい、どこに行く?」



闘技場を去ろうとした刹那、城門近くでグローアへと呼び止められる。


「敗者に何の用だよ、十解様.........笑いにでもきたか?」


グローアは苦笑をすると、そうだと笑った。蒼髪はばつのわるい表情を浮かべた。


「そう邪険にするな......俺も以前、同じような負け方で「c」級冒険者に負けてるんだ。」

「なっ、お前が「c」級ごときに、か?」


グローア程の男が「c」級冒険者に負けるなど考えられない。


「あぁ、聞いて驚くなよ?神聖国王本人との一騎打ちでだ。彼奴がまだ、ただのジークフリートだった頃の話だがな。」


神聖国王が元冒険者だったことの意外性で驚きが隠せない。


「...........これから、どうするんだ?」


蒼髪へと表情を改め、問い掛ける。


「こんな無様を晒したんだ。引退するしかありめぇよ.......そうさな、田舎にでも引っ越して畑作業にでも精を出すのも悪くないな。」


蒼髪は苦笑をしながらグローアへとそう語る。


「それでも「s」級だった男の吐く台詞か.........チッ」ボソ


グローアは聖剣を抜き、蒼髪へと斬り掛かる。


「ぐっ、何のつもりだ、グローアッ!!」


大剣で何とか剣撃を防ぐ。


「________________蒼髪、それがお前の本心なのか?」


剣へと力を入れる。蒼髪は膝を着き、何とか聖剣を防いでいた。


「.........本心だ。」


だが、負傷をした身体では直ぐに斬り伏せられてしまう。


「俺は...........俺は負けたんだ。」

「一度の敗北でお前は戦士を止めるのか。」


戦士を止める。戦いを止める。それが意味するのはヴァルハラへの道が閉ざされると言う事だ。


「この大会は冒険者でなくなった俺の最後の賭けだったんだ。」


この戦いで負けるようであれば、戦士失格であると。

「それで賭けに負け、むざむざと敗走するとお前は言うのだな。」

「あぁ、そうだよ!お前と違って俺の戦士としての寿命は終わったん「終わってなど断じていない!!!」


グローアは叫ぶ。


「蒼髪_________お前の戦いはまだ、終わってなんかいない。」


大剣を弾き飛ばし、聖剣を地面へと突き刺す。


「何を言って.......」

「冒険者なら最後まで冒険者らしく在れ。神聖国にはお前の力が必要だ。」

「はっ、世界を制覇した十解様に俺の力が入るかよ。戦力はもう揃ってんだろ。この大会だってヴァナヘイム人への公平性で開催したに過ぎん事は皆気付いている。」


蒼髪は皮肉を口にする。グローアは黙って剣を鞘へと戻し、蒼髪を立ち上がらせる。そして蒼髪の目を見て告げるのだ。


「____________大狼フェンリルを討伐する。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ