狂い回廊
「____________次は俺達の番だな、蒼髪のおっさん!」
片手剣を鞘から抜刀し、縦に構える。
「まぁ、そう言う事になるな。」
大剣を二振り異空間から取り出し、赤髪へとクロスに構える。
(大剣を二振り.........最初っから本気って訳ね。)
蒼髪は初手で決めに来るつもりだ。ルーン魔術による身体強化、そして反応速度の強化を最大限まで上げる。
「良いぜ、おっさん。おっさんがその気なら、俺も最初から本気でいく!」
マントを投げ捨て、数多のルーンが刻まれた腕が露になる。
「____________ルーンの赤鬼。そうか、お前が新星と呼ばれた。」
蒼髪は笑みに深みを出す。
「冒険者の先輩として忠告してやる。俺は強いぞ。」
「知ってる.......冒険者なら誰だってあんたやスヴィプダグ•グローアが憧れだった。だからこそ、俺は今、挑戦するんだ。」
「s」級冒険者の夢は途絶えた。だが、最強の戦士団であるフィンブルの冬に加入する希望は見えた。
(________憧れの先に俺は行く。)
叶える。己の目指した最強が本物であったのだと。
「行くぜおっさん。俺は挑戦者だけど、超強ぇぞッ!!」
試合開始の合図が闘技場へと響く。
「......動きを封じにきたか。」
試合開始と同時に蔦が蒼髪の両足を拘束する。赤髪がルーン魔術を発動させたのである。
「試合は長引かせねぇ!!先手必勝ッ!!!」
ルーン魔術による加速。片手剣の刃が蒼髪を捉える。
「__________ッ、浅いか」
蒼髪は身体の軸をずらし、致命傷を避ける。
(この坊主..........出来るな。)
蒼髪は蔦を筋力で引きちぎり、威風堂々と赤髪に向け走り出す。
「お前のような冒険者が生まれていたとはな!!」
心底嬉しそうに大剣を振り下ろす蒼髪。
(__________なんつー攻撃力だよ、このおっさん、)
大きな剣を二刀、軽々と振るう蒼髪。赤髪はルーン魔術による全身体能力強化で何とか攻撃を避け続ける。
(クソ、剣圧に押されて反撃出来ねぇ....)
そして避けた際に生じる地割れ、土煙により視界が潰れる。
「力のコールガ程じゃねぇーけど、あんた.....相当化物だぞ。」
一度、後退しなければ。赤髪は蒼髪の振るった大剣の刃の上に乗り、大きく後ろへと跳躍する。
「______________甘いな。」
後部へと跳躍した赤髪に対し、蒼髪が小さく声を漏らす。
「剣技_________桜花旋風。」
大剣により突風を生み出す。
「なっ、ぐっ!!!」
(大剣で大風を起こしやがった、)
跳躍した赤髪はそのまま突風により飛ばされてしまう。
「足場を失ったお前さんは格好の的だな。」
(お前が取る行動は予測できる。)
蒼髪の足場から蔦が生えてくる。だが、片足で蔦ごと地面を踏み砕き、地割りを起こす。
「おじさんを拘束して、安路を作るしかないわな。」
地割れを足場に赤髪へと走り出す。
「_____________片腕くらいは許してくれ。」
空中から落ちてくる赤髪へと跳躍し、大剣二刀をクロスに構える。
「奥義_________狂い回廊ッ!!」
(回避不可の究極の一撃。だが、死にはしねぇ。大幅に威力は抑えてある。)
狂い回廊。双大剣使いの覚醒能力の一つ。斬撃が幾重にも別れ、対象者へと回帰する無双の一撃。避ける事はほぼ不可能である。
「その技を待ってたんだぜ、おっさん!!」
赤髪は懐から魔法袋を取り出し、蒼髪へと向ける。
(魔法袋だとッ......対応に間に合わなっ)
そして狂い回廊の一撃は魔法袋へと吸収され、蒼髪へと吐き出される。
「________ぐあっ!!!!」
蒼髪は自身の放った奥義により、大ダメージを受け、地上へと落ちる。そして赤髪は着地し、即座に片手剣を地上へと倒れた蒼髪へと向けた。
「_____________俺の勝ちだぜ、おっさん。」




