おっさんの実力
第三試合は赤髪の勝利で幕を終えた。
「いやぁ、やっぱり強いねぇ。おじさんもびっくり。」
蒼髪は大剣をだるそうに持ちながら、対戦相手と対峙する。
「武闘大会に参加する勇気ある若人に見習い、おじさんも参戦してみたけど、案外緊張するもんだねぇ。観衆の中で実力を見せなきゃならん高揚感。負けるかも知れないという恐怖感。どれも戦場では必要な要素だ。出来ることなら十解の皆様とも手合わせ願いたいと俺は思っているよ。」
「よくしゃべるおじさんだ。そんなに話したいなら詩人か舞台師にでもなりなよ。」
フードをした青年。武装は長弓。副武装に細剣を装備していた。蒼髪はフード青年の職業適正が【狩人】であると予測する。
「君が大会を制覇して十解に加わる事が出来たなら、僕が相手をして上げるよ。それともグローアの方が良かったかな、元「s」級くん。」
皮肉気味に煽る剣帝に蒼髪は嗤う。
「あぁ、そうしてくれるとおじさんは嬉しい。」
ライバル心を燃やす蒼髪の姿を見て、剣帝は内心で苦笑をした。
「善処するよ。それじゃあ第四試合を始めよっか♪」
大太鼓の音が闘技場へドドンと鳴り響く。
「_____________まぁ、そうくるよな。」
開幕一番に魔力で編まれた弓矢が放たれる。蒼髪はその魔弓を紙一重で避け、手に持つ巨大な大剣をフード青年へと投げつけた。
「は?」
(俺の弓矢と同じ速度で剣をぶん投げて来やがったッ)
フード青年は冷静に剣の軌道を読み、避けようと動き出す。
「____________なん?」
だが、大剣はフード青年の左肩へと突き刺さり、そのまま闘技場の壁まで吹き飛ばされてしまう。
「がはっ!!」
大剣により壁へと縫い付けられたフード青年。頭を掻きながら欠伸をする蒼髪。
「すまねぇな。俺の大剣はオートマなんだ。」
壁に突き刺さった大剣を抜き取り、剣帝へと目を向ける。
「止血しねぇとこの坊主、死んじまうぞ。」
剣帝はギロリと蒼髪を一瞬睨み付けるが、直ぐに試合終了の太鼓を鳴らす。
「____________今この場で模擬試合をしてもいいんだよ?」
救護班により運ばれていくフード青年。それを横目に蒼髪へと殺気を向ける。
「それは嬉しいお誘いだが、丁重にお断りさせて頂くよ。誤って殺されてしまいそうだ。」
「はは、誰だって手が滑ってしまう事はある。」
蒼髪は大剣に背追い上げ、闘技場の参加者専用観覧席へと移動する。そして、グローアへと目を向ける蒼髪。
(俺はお前と同格だった。冒険者として、戦士としても.......)
この歳になって負けたくないと感じてしまった。青二才だと嗤えば言いいさ。グローア以外のs級は知らないが、俺は死戦の中でしか生きられない。
「元s級同士......また肩を並べて冒険がしたくて、何が悪いよ。」




