赤髪初戦
「ポニーちゃん.......敵は絶対にとってやるぜ。」
第三試合に指名された赤髪。手に持つ獲物はシンプルな片手剣。そして左腕には数多のルーン魔術が刻まれていた。
(俺の職業適正はフレイ様と同じ片手剣使い。)
絶対王政を敷いていた王にしては肩透かしな職業である。しかし、フレイはその類いまれなる戦闘センスと頭脳で勝ち続けて来た。
(俺は貴方のような戦い方は出来ない。だから自分だけの戦い方を確立したんだ。火力不足はルーン魔術で補える。頭脳はポニーテールに任せる。)
冒険者だった頃はそこそこと名の知れた「a」ランク冒険者だった。ポニーテールと共に数多のアングルボサの呪いを狩り、国の脅威を取り除いて来たんだ。
(まぁ、世界蛇が現れてポニーテールと偵察に出たんだけど、運が悪かったのか力のコールガとか言う裸靴下に遭遇して、なすすべもなく負けちまったんだけどさ...........)
幸運な事に命までは奪われなかったことが救いだ。とはいえ、長い間、俺達の意識は回復しなかった。
(目が覚めた時には全てが終わっていたよ。)
祖国アルフヘイムは神聖国に敗北し、クラキ国との戦争を始めていた。
「_________あんらぁ?貴方が私のお相手をしてくれるのかしらぁ?」
力のコールガには及ばないが、筋肉しい上半身裸サスペンダー男が目の前に立ち塞がる。乳首には何故か星形のシールが貼られていた。
「うーんま♡優しくシてね♡」
投げキッスをするサスペンダー男。口紅も薄くではあるが塗られている。お洒落と言うやつだろう。
「そうだぜ!お前を倒す男だ!!」
低く構える。後は試合開始の合図を待つだけ。
「両者とも準備は出来たようだね。それじゃあ始めようか、第三試合をっ!」
試合開始の合図。太鼓がドドンと鳴り響く。
「___________逝くわよ、坊や。」
舌舐めずりをし、獣のように闘技場を走り回る。その雄々しい姿に恐怖しつつも片手剣を構え、カウンターに備える。
「___________ガオ♡」
獣のような鋭利な爪が迫り来る。赤髪は身を低くし、ルーン魔術を発動させる。
「___________蔦の鞭よ。」
左腕のルーン文字の一部が緑色に発色すると、サスペンダー男は地面から突如生えてきた蔦に拘束される。
(腕に刻まれたルーン魔術であれば、詠唱を破棄して魔術を発動することが出来る。)
戦闘に特化したルーン魔術を刻んだ。小さい頃からこつこつと。魔道書は高価な代物だ。一つのスペルが乗った魔道書だけでも一般兵の給金一年分の代金が必要となる。
(だから冒険者として危険な任務をたくさんこなしたんだ。)
死ぬ気で働いて稼いで刻む。その繰り返し。いつか「s」級冒険者になることを目指して。
「冒険者稼業が撤廃されて夢も途絶えちまったけどさぁ。諦めきれないよなぁ、ちきしょう。」
拘束したサスペンダー男を容赦なく切り捨てる。サスペンダー男は「素敵♡」と小さく呟くと地面へと倒れ伏す。




