神聖国を統べる王
「闘気が変わった........か。」
いい傾向だ。そうジークフリートは内心で思う。
「........来い。」
その言葉と同時に軍刀がジークフリートへと向け振るわれた。
(さっきよりも早い.....いいや、剣筋がこいつのものじゃないな。)
他の剣士をトレースして剣を振るっている。
「面白い戦い方をする、模倣士」
タイミングを合わせ斬撃を受け流す。
(流された.......だけど俺の攻撃は終わっちゃあいない!!)
片手を剣から離し、魔力を込めた拳で軽装備の男へと正拳突きを叩き込む。
「ぐっは!!」
(バトル・ロワイアルで暴れていた桜髪の技.........)
後部へと飛ばされた軽装備の男は受け身を取り、すかさず立ち上がる。そして視線を前に向ければ蹴りが眼前に迫っていた。
「________俺の動きを真似たか。」
軽装備の男は身体を傾け、ギリギリの位置から蹴りを避ける。そして蹴りあげていない方の足へとタックルをかまし、そのまま押し倒した。
(やばい、やばいやばいやばいっ!!!)
馬乗りになった軽装備の男に殴られ続ける。抵抗しようにも防御に手を回しすぎて逃げ出せない。
(___________このままだと意識を失う。)
打開策を考えている暇はない。魔力を自身に纏い、解き放つ。
「負けたくないッ!!!!」
自傷にも等しい自爆技。最悪、殺してしまう可能性もある。けれど、今は剣帝の置いたルールなど考えて戦っている余裕はない。
(..........やった、のか?)
魔力爆発の影響は自分自身にも及ぶ。傷付いた身体に鞭を打ち、周囲を見渡す。
「.......はぁ.......はぁ......度胸が据わっているな......」
数メートル離れた場所に片腕を抑えた軽装備の男はいた。装備は半壊し、兜にヒビが入っている。かなりのダメージを負っていることは外傷から見て取れる。
(く、くそっ.......立つ力が残ってない.....)
起き上がろうにも身体が言うことを聞かない。軟弱な身体が恨めしい。何故日頃から訓練をしてこなかったのか。
「..........良いだろう......その勇気に免じて、負けてやる.......」
軽装備の男は両手を上げ、降参のポーズを取る。
「降参で良いんだね。」
剣帝は軽装備の男へと問いかける。
「あぁ......俺よりも可能性のある若人に希望を託す。」
剣帝はクスリと笑うと勝負ありとジャッジを下した。
「ま、待ってくれ!!」
立ち上がらない身体。だが、声は出せる。
(誰がどうみても俺の敗北だった.......なのにこんな勝ち方.....)
嬉しくない。嬉しくないけれど........
(........)
それでも上に進みたいという欲求が上回っていた。
「なんだ?」
格上であるこの男が何故、自分に勝利を譲ったのかは気にはなる。なるが、今はこの気まぐれの勝利に感謝するしかない。
「名前を......教えてくれないか?」
軽装備の男は小さく笑い、自分の元へと近付いてくる。
「ジークフリート________」
そして耳元でこう呟くのだ。
「______________神聖国を統べる王だ。」
最後に秘密だぞと言い残すと軽装備の男は去って行った。真偽は分からない。だが、男が冗談が言える奴であることは理解出来た。




