武闘大会当日
武闘大会当日_________
「__________どうだ、強い奴はいそうだったか?」
ジークフリートはヴィナヘイム闘技場の玉間から参加者達を一望する。
「強い奴は一人いる。あの目立つ蒼髪、俺と同じ元「s」級冒険者だ。十解に恐らく最も近い実力を秘めている。ヴィナヘイム人だったとはな。」
グローアと同じく元「s」級冒険者。世界に四人としか存在しない英雄級の実力者達。ちなみにではあるがジークフリートは「c」級であった。
「幸先がいい事だし________」
玉間の観覧席に参加するのは全ての十解と神聖国王であるジークフリート。闘技場にいる者達は緊張した面持ちで大会の開会宣言を待つ。
「_________________始めようじゃないか、武闘大会を。」
ディートリッヒは闘技場の中央に立つ柱へと飛び乗り、参加希望者達へと言葉を向ける。
「やぁやぁ、よくぞ集まってくれた。これ程の希望者がいるとは正直に驚きだよ。かなり大きく建設した闘技場もぎゅうぎゅうだ。」
十解四席、「剣帝」が至近距離で話しをしている。その緊張感とプレッシャーで参加希望者達は冷や汗を流す。目の前で話をする男は歴代最強と名高い「勇者」を一対一によるタイマンで斬り殺している。
(この寒気はなんだ........)
そして闘技場に集まる戦士達は、強い恐怖心を個々に感じた。戦士としての感が目の前にいる男には絶対に手を出すなと無意識的に警告を促すのだ。
「まぁ、そんなに怖がらないでよ。怖がるだけ無駄なんだから。僕がその気になれば死んだことに気付かないまま此所にいる全員を殺せる。」
嘘ではない。それ程の実力さがベルンと参加者全員との間にはある。
「まぁ僕の事はいいんだ。問題は参加者が予想以上に多いって事だね。うんうん、良いことでもあるよ。だけど、減らそっか。個別でやっていたら時間が掛かりすぎるし、僕たちも其処まで暇じゃあない。だからバトル・ロワイアルと行こう。うーん、そうだね......八人。最後に立っていた八人をトーナメント式で試合させる。」
ベルンはジークフリートと目を合わせ頷くと、観客席へと飛び移る。
「殺生はするな。これはあくまでも武闘大会。戦士の技術の見せ所だ。自分をコントロール出来ない奴に戦場に立つ資格はない。事故で殺してしまった当事者は僕が責任を持って殺す。だから安心して戦いに挑むといいよ。」
ベルンの言葉に戦士一同は唾を呑み込む。
(殺しが許される殺伐とした武術大会ではないのか.....)
(間違えて相手を殺した場合、死刑が確定する......)
(遠回しに狂戦士をディスってないか......)
ベルンは観客席の空席へと座り、参加者達へ告げる。
「この場に来たってことは戦士としての覚悟を見せに来たってことだよね。今さら降りますなんてダサいことは言わないでね♪まぁ別に文句は言わないけどさ、この武闘大会はルーン魔術で大陸間放送されるから、辞退するならそこのところは考慮して辞退してね。」
最早脅しである。この場で逃げようものなら世間に武闘大会から逃げ出した戦士であると周知される。それはもう生き恥だ。
「さぁ、戦いを始めなよ__________」
バトル・ロワイアルによる選別を始めよう。
「____________________強者は限られるのだから。」
開始の鐘が、神聖国兵により鳴らされる。




