原石を見つけよう
「己の正義を持って戦場で刃を振るう。最期に立っていたものが正義となる。それがネーデルラント家の家訓だ。兄さんは笑って言っていたよ。もし仮に私達が相対する時が来たら恨み無し、後腐れ無しの戦いをしよう、と。」
勿論嘘である。
「聖女ブリュンヒルデはどちらかと言うと俺に対しての執着心が強かった。彼女は戦争を好機と思い、俺を専属の奴隷にして永久に飼い殺そうとしていたのさ。世間一般には領民思いの聖女に見えただろうが、最も頭のネジが外れた人間はあの女だ。戦う宿命以外に俺の生存権はなかった。」
これは本当である。
「っ............な、ならば殿下や宰相の息子に歩み寄ろうとは「思わないな。」
ジークフリートはランドグリーズの言葉を遮り答える。
「あの二人は己の意志で動いていない。正確には戦士としての覚悟を持って戦場に立っていなかった。聖女への淡い恋心のみで神聖国との戦争に臨み、死んだんだ。」
上に立つものとしての覚悟が成熟していなかったのである。
「ランドグリーズ、なぜ、俺が他の誰でもないお前さんを第一に勧誘しているか分かるか。それはお前さんがクラキ国の兵に置いて最も戦士としての誇りを持って戦場に挑んでいたからだ。」
正確には「パリィ」の強さを十解に取り入れたいだけなのだが方便は必要だろう。
「__________神聖国には新たなる英雄が必要だ。もう一度聞く、ランドグリーズ。俺達と歩んではくれないか?」
ジークフリートは手を差しのばす。ランドグリーズは躊躇いの表情を見せていた。
「当方は_____________」
(いやぁ........本当にちょろいなぁ。)
ジークフリートは寝室のベッドで横になりながらニヤニヤとしていた。
(当人をアゲつつ、それっぽいこと言っとけばなんでも上手くいくなぁ。もしかしたら詐欺師の才能が俺にはあるかも知れん。)
勿論、鴉羽三三三の顔あって成立することではあるのだが。
「ロキ、クリームヒルト、スキールニル、グローア、ベルン、アスラウグ、ランドグリーズ、............あれ、ヘズは何処にいったんだっけ?」
ヘズの姿を暫く見ていない気がする。クラキ国との戦争には参加していなかった。と言うよりもクラキ国が攻めて来たため、手元にある戦力で戦っていたんだ。
(確か、彼奴にはゼクスと共に占領した大国の後始末をしてもらっていた気がするけど.........)
まぁ、戻って来たら休むように言えばいいか。
「とは言え、十解の椅子は二席空いている。ゼクスを入れれば一席は埋まるとして、もう一人はアルフヘイム出身者がいいな。」
公平性を持つために十解の椅子には最低でも各大国から一人、抱え上げなければ不満を持たれる事になる。
「フレイヤやフレイ以上の戦士はいないだろうが.......原石は眠っているかもしれない。」
各大国の復興と平行して、ヴァナヘイムで武闘大会を開催する。その頂点に立ったものを十解の一員として迎え入れようじゃないか。




