ネーデルラント家の長男
ネーデルラント家の長男として生まれた。
七英雄の「勇者」として天恵を得た。
最強と名高い魔剣「グラム=バルムンク」の担い手として戦場で無双を誇った。
「_____________勇者に敗北はなく、敗走はしない。」
常に前を歩き続ける。後ろを振り返らず、民衆を導く象徴となる。
「勇者元来の務めは世界樹の守り手だ。」
脅威がない場合、世界樹を守る使命を受け持つ。故に勇者に自由はない。
「だからこそ、聖女の天真爛漫さに恋をした。」
鎖に縛られず、自分のしたいがままに動く彼女が何処か輝かしく羨ましいと感じたんだ。手を伸ばせど届かないことは分かっている。けれど、手に入れたいと思ってしまった。
「私は自分勝手で愚かな勇者。」
エイル•ワルキューレとの縁談もそうだ。父上に言われたから表面上は笑顔で受け入れていたが、内面では激怒としていた事を覚えている。だから彼女との縁談を破談にするためにわざと愛弟であるジークフリートを会わせ、彼女に恋を植え付けた。
「恋の成熟には制約が必要だろう。」
彼女は言いつけ通りに実力を身に付け「鑑定士」でありながら覚醒に至った。正直な話、彼女の成長は予想を遥かに上回る結果だった。
「ジークフリート、お前の司る魅了は最早呪いの域だ。」
どのような宝物も我が弟の魅了には及ばない。魅了に嵌まったものは実力以上の力を引き出し、ジークフリートの為に研鑽する。
(.........目の前の剣帝がいい例だ。)
己の実力を過信して努力を怠っていた。だが、ジークフリートと邂逅したことで剣帝として目覚め、今まさに英雄の領域を越えようとしている。
(ジークフリート......私はお前が怖く感じるよ。)
そして同時に案じてしまう。私が側にいなくて良いのか。私がお前を守らずにどうやって障害を取り除いていくのか。
「最期の血縁として、私がお前を守らねばならない。」
そう、思っていた。
「剣帝...........」
剣帝は覚醒能力の先へと至った。異空間を瞬間移動にも等しい速度で移動し、次元斬りを連続で使用する。
「__________________言い残す事はあるかい?」
四肢は斬り飛ばされ、魔剣グラム=バルムンクは次元の彼方へと飛ばされる。最早抵抗する術は私に残されていない。
「ジークフリートを頼む。世界の調和を...........剣帝、君に託す。」
天を仰ぐ。決着はついた。勇者である私は負けたのだ。
「そしてブリュンヒルデ、君に幸あることを願うよ__________」
シグルド=ネーデルラントはそう言い残すと剣帝に心臓を貫かれ、絶命する。
「______________聖女については約束出来ないかも知れない。ごめんね。」
剣を引き抜き、血を振り払う。そして鞘へと剣を戻し、塔へと顔を上げる。
「後は彼女だけだ。師匠、どうかご無事で。」




