覚醒能力の先へ
「___________次元斬りッ!!!」
グラム=バルムンクによる斬撃を次元斬りにて防ぐ。そして刃と刃が再びぶつかり火花を散らす。死闘に言葉は不要。ただ、剣でのみ語り合う。
(青色の指輪は砕けた。鎧によるダメージ転化はもう出来ない。即死すれば俺は正真正銘、死亡する。)
残された武装は魔剣のみ。そして「勇者」の覚醒能力のお陰でダメージを蓄積する度に力が上がっていく。
(最初は押されていたが、今は力の向上で此方に秤が傾き始めている。)
勝てる。目の前の強敵、剣の帝に。
「ッ、気色悪い奴っ!!!」
シグルド•ネーデルラントの不気味な笑みを前に鳥肌が立つ。ベルンは己にギアを掛け、シグルドを剣術で圧倒する。
(このまま押しきる。これ以上、この勇者にチクチクとダメージを与え続ければ力の関係が覆される。)
次元斬りは空間ごと切り裂く防御不可の最強の一撃。
「_______剣速が落ちているぞ、剣帝?」
なのに押しきれない。ベルンは苦渋の表情を浮かべる。圧倒する度に力が増し、逆境を乗り越えてくる相手はやはりやりづらい。
「うるさい!!」
勇者を押し返し、体勢を整える。集中するんだ。
(足りない........)
今のままでは増幅した勇者の力に押し潰される。
(..............越えなければ。)
次元斬りの先に。新たなる可能性に。
(考えろ。僕はこれまでの戦いで何を見て、何を学んで来た?)
小手先の技だけか?魔法袋の裏技か?違うだろう。各戦士達の剣の扱い方、そして可能性だ。
(その先で異質とした技はなんだった。)
_________次元を切り裂くハサミを持っていた女がいただろう?
(その女は次元を渡り歩いて、瞬間転移に等しい芸当を見せた。)
通常の戦士が四聖蛇公ドーヴァと対峙していた場合、彼女の数多の宝具に翻弄され為す統べなく引き殺されていたことだろう。だが、相手が悪いことに彼女が対面したのは我らが同士、ロキだった。
(精神を壊して冥界送りにしたって言っていたなぁ、ロキ。)
それも意地の悪い悪人顔で。とは言え、今考えるべきことは彼女のハサミは使い方次第では次元斬りを簡易的に使えるという事実だ。
「そして僕も__________」
____________次元間移動、転移にも等しい瞬間移動を可能とすることが出来る。




