王子の最期
「_____________こんなものか。」
倒れるフロールフの上半身へと右足を置き、踏みつける。
「僕は......ぐっあっ!!」
剣を振り上げようと右腕を動かすが、重力制御にて大岩がフロールフの腕を潰した。余りの痛みに叫び声がトゥーレを木霊する。
「............はぁ........はぁ........」
クリームヒルトを睨み付けるフロールフ。クリームヒルトはその表情をつまらんと言った様子で見下げる。
「もう一度好機をくれてやる。トゥーレを去れ、フロールフ。そして二度と我ら十解の前に姿を見せるな。」
命までは取らないとクリームヒルトはフロールフに再忠告をする。
「僕は.........彼女を............それは出来ないよ、クリームヒルト。だって僕は純粋な程にブリュンヒルデに恋をしている。彼女の為ならば僕はなんでもする。そしてそれは_________」
フロールフは残った左腕でクリームヒルトの右足を振り払う。そして立ち上がり、覇王へと宣言するのだ。
「________君も同じだろう。」
同じ意思と覚悟でこの場に立っている。そう、若き王子は口にするのだ。クリームヒルトはふっと笑みを見せ、先程飛ばされた細剣を拾い上げる。
(そうだな。お前はそう言う男だったな。私と同じく意地っ張りで負けず嫌い。そして私がジークフリートを愛するように聖女の為に死ぬまで戦い続けるのだろう。)
フロールフは潰れた右腕を抑えながら、クリームヒルトへと視線だけを向けていた。
(勝てないことは分かっているよ。僕に勝機は残されていない。残っていたクラキ兵もクリームヒルトに全滅させられた。)
手札は何一つ残されていない。
「.........これは、そうか、」
足元に自分の剣が投げ渡される。それを左手で掴み上げ、強く握り締める。
「ありがとう..........クリームちゃん」ボソ
フロールフは感謝の言葉を呟くと同時にゆっくりとクリームヒルトへと向かい走り出す。
「逝くぞ、クリームヒルト•グンテルゥ!!!!!!」
「来い、フロールフ•クラキ!!!」
剣を横凪に振るうフロールフ。今持てる力全てを込めた一撃。戦場で戦い華々しく散る。さすればヴァルハラに誘われる事だろう。
「はあああああああああああああ!!!!」
一撃目を細剣で受け流される。そして、クリームヒルトは受け身を利用して身体を回転させフロールフに鋭い一太刀を浴びせた。
「あがっ...........」
血が流れる。致命傷を負うフロールフ。しかし、フロールフは己の剣を手放さない。
「まだ、だ.......まだ終わってっ_________」
心臓へと細剣が突き刺さる。フロールフの手から剣が離れ、カランと地面へと落ちる音が鳴る。
(ブリュンヒルデ.......どうやら僕は.....君の王子様には.......)
フロールフの瞳から徐々に光が消えていく。
(..........なれ.....い.......せめて....生き.....て.......________________)
クリームヒルトは細剣を引き抜く。フロールフはその場へと膝を着き、絶命した。恋い焦がれる聖女の無事を願いながら【攻略対象】の一人は命を失ったのである。




