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鑑定士vs勇者

「_____________ワルキューレ嬢」


聖剣グラム=バルムンクを鑑定士の首元に翳すシグルド。エイル•ワルキューレは片膝を着き、睨み付ける。


「はぁ......はぁ.......」


激しい攻防の末にエイルは体力切れを起こす。目の前の化物は戦う事に特化した最強の勇者。鑑定士如き職業適正が決して勝てる相手ではない。


「君の敗けだ。潔く死んでくれると言うならば苦痛なくヴァルハラへと送ろう。」


シグルドはジークフリート以外の十解を殺害すると断言している。その決定は覆らないだろう。


「ヴァルハラに行くのは貴方だ。」バンッ


エイルは聖剣を籠手で弾き、後方に数歩下がり仕切り直す。


(......目の前の男は本物の勇士。どんなに弱点をついた攻撃でもそれを上回るカウンターで攻撃を仕掛けてきます。)


勇者の覚醒能力は「傷を負うごとに戦闘力が増す」と言うシンプルかつ厄介な能力を秘めている。だが、これは鑑定士としての解析と解錠でどうにでも出来る。


「そうか。最後まで戦うというのか。」


目を瞑り、息を吐き出す。そして再び目を開き剣を両手で握り直す。


「手加減は出来ない。君は強い。恐らくこの大陸でも上位に名を連ねる事が出来る程に。だが、私には遠く及ばない。その事実を君は身を持って知ることになるだろう。」


勇者は一足の元、エイルの懐へと入り剣を振り上げる。


(解析_______下段からの鋭い一撃。)


身体を右方へと曲げ、シグルドの渾身の一撃を紙一重に避ける。


(避けられると予測した会長は足蹴りによる攻撃を繰り出す。)


籠手による拳をタイミングよく合わせ勇者の足蹴りを相殺する。シグルドは一瞬驚いた表情を見せるが直ぐに改め、聖剣の解放を口にする。


「切り裂け____________グラム=バルムンク」


グラム=バルムンクは如何なるものも切断する。それは刀身だけに限らず、使用者の視界に映るもの全てに適用される。


(絡繰は理解してます。)


会長ならば胴体を二つに割るために中心を狙う。これで敵が絶命すれば上々。だが、本当の狙いはこの先にある。


(一撃目は陽動で二撃目が本命。本命を避けた先に勝利への鍵がある。)


エイルは一撃目の斬撃をしゃがむ事で避ける。そしてアッパーでシグルドの顎を狙うが、予測通りに聖剣解放のモーションへと入られる。


「____________グラム=バルムンクッ!!」


エイルの放つ腕に薄い切り傷が浮かび上がる。だが、即座に回転をすることで聖剣の斬撃から逃れる事に成功する。


「ここですッ!!!」


回転を利用し、シグルドの顔面へと裏拳を喰らわせる。


「ぐっ!!?」


シグルドは一歩、後ろへと後退するが何とか踏み止まり前方へと身体を押し戻し剣を振り上げる。


(グラム=バルムンクの連続解放は最大で三度。次は避けられまい、エイル嬢。これで止めッ.........何処に消えた?)


視界の先にエイル•ワルキューレがいない。シグルドは即座に索敵に意識を向けるが__________遅い。


「___________聖剣がなければ貴方は木偶の坊だ。」


上空から聖剣を握る利き手を狙い必殺の一撃を叩き込む。


「ぐうッ!!」


ぐしゃりと骨が砕け、聖剣が手元から離れる。


(..........くっ、攻めきれないッ!!)


そして追随して猛攻を仕掛けるが、全ての攻撃をいなされ距離を取られてしまう。


「________私の予想を上回るか、エイル•ワルキューレ!」


絶対絶命だというのに嬉しそうに笑みを見せる勇者。


(貴方は学園の頃からそう言う方でしたね。)


一旦、体勢を立て直す為にエイル•ワルキューレの攻撃射程から外れようと動き出す勇者だが、それを逃す彼女ではない。


「逃がしません。」


止めを刺すべく拳を穿つ。


(______勇者の物語はこれにてお仕舞いです。)


神速の一撃。鑑定に鑑定を掛け、更に弱点である急所へと拳は近づく。


「________させるとでも?」パリッイ!!


拳を大盾により防がれ、押し返される。


「なっ!?ふぐっ」


そして体勢を崩した隙を狙い大盾にて殴り飛ばされてしまう。



「__________油断し過ぎだ、ネーデルラント郷。」



ガンと大盾を地面へと下ろし、勇者を労る表情を見せる女乙女。


「ランドグリーズ嬢、君の手助けは不要だ。助太刀には感謝しよう。だが、私だけでも充分に対処は出来た。」


シグルドは目を細め、ランドグリーズへ感謝の言葉を告げる。だが、目に見えて機嫌が悪かった。


「水をささないでくれないか。彼女とは一対一の戦いがしたい。これが戦争であることも、私がクラキ国の希望であることも重々と承知している。だが、彼女との約束はクラキ国の勇者となる以前から交わされた盟約だ。何者にも侵害はさせない。」

「それが分かっているのならば当方は何も問うまい。先に塔へと登る。決して敗北だけはするなよ、勇者。郷はこのような場所で死ぬべき男ではない。」


ランドグリーズは数十名のクラキ兵を連れ、塔内部へと進んでいった。


「__________私は勇者だ。敗北などありはしないよ。あるのは勝利と栄光、そして自由だ。」

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