ブリュンヒルデは侵入する
「あぁーあ........アルフヘイムも落ちちゃったかぁー。」
神聖国の本拠地であるトゥーレにて黄昏るブリュンヒルデ。カーラが死亡したことにより、使い魔の監視網が失われ、ブリュンヒルデ"達"の侵入を許したのである。
「ジークくん、本当に凄いよね。ブリュン一人じゃあ太刀打ち出来ないくらいに強い。」
トゥーレの花庭園に見える三つの影。その三つの影の中心に存在するのはブリュンヒルデ。
「でもね、ブリュンヒルデは戦うよ。戦って戦って戦ってジークくんを略奪するの。力づくで分からせなきゃ分かってくれないんだもん。大丈夫、ブリュンヒルデはジークくんに優しいから。砂糖菓子の甘さのように君をとことん甘やかしてブリュンなしじゃ生きられない身体にしてあげる。」
トゥーレの塔を目指し、歩きだす。その後を追うように二人も立ち上がり、歩きだすのだ。
「_____________聖女がこの塔を目指し、歩進している。」
トゥーレの最上階にて玉座に座る自分の傍らでクリームヒルトにそう忠告される。
(あの女......どうやってこの孤島に侵入した?)
カーラを失ったとはいえ、トゥーレには防壁を張っていた筈だ。そう易々と侵入できる幻想郷ではない。
「ジークフリート、随分と面白いことになったじゃないか。」
スキールニルは頬を上げ、興味深そうにブリュンヒルデ達を塔の最上階から見下ろす。
「主人公は"戦力"を揃えているぞ。」
主人公ブリュンヒルデの左右には聖者であるクラキ国王子と最強の勇者シグルドが控えていた。
(兄さん..........)
ジークフリートは立ち上がり、シグルドへと目を向ける。
「____________集え、英雄達よ!!我らが聖戦はこれより始まる!!神聖国に正義の鉄槌を!我らはヴァルハラの意思と共にあるッ!!!」
ブリュンヒルデの宣誓と共に彼女の後部には大多数の魔方陣が出現する。
「ジークフリート........グローア達を呼び戻すべきだ。」
ロキは冷や汗を見せる。魔方陣から姿を現すはクラキ国の兵団。そしてかつて学舎で勉学を共に学んだ者達。そして神聖国により大切な者を奪われた被害者が武器を手に取り、殺意を剥き出しにしていた。
「間に合わない........先攻したことが裏目に出た。数もだが、兄さんとフロールフが一緒にいることが俺達にとって最も危険な事実。恐らくだが、兄さんがロキの覚醒能力を警戒しての対抗策だろう。」
ロキへの唯一の対抗策、フロールフ王太子を最前線に投入し勇者を万全の状態で戦わせる。
「それ程までに聖者は脅威なのか。」
物語のメインヒロインなのだ。凡骨な能力など持ち合わせていよう筈がない。
「聖者単体では俺達の敵じゃない。けれど勇者という最強の矛のサポートに回った場合が厄介なんだ。」
勇者を瞬殺することが出来れば戦争の終結は早期に済む。だが、勇者が存在する限り、此方の被害は零では済まない。生徒会との抗争でそれは実証済みだ。
「ならばフロールフを先に叩けばよかろう。」
クリームヒルトの言う通り、フロールフを叩けば戦況は大きく此方に傾く。
「それが最適解だろうな。だが、クラキ国の面子を見てみろ。パリィの申し子『ランドグリーズ』、元生徒会役員庶務の『アムレート』、ヴォスヴァルが束ねていた狂戦士の生き残りどももいる。そして七英雄三名が結束して軍団を束ねているんだ。」
十解メンバー全員が揃っていないこの状況は危機的状況にある。ダーインスレイヴを持つハーラルも追撃要員としてクラキ国に出撃させたのも痛い。
「______________これまでとは違い、激戦になる。」




