悲しみと新たなる戦力
「そんな.......カーラ............」
エイルはその場へと泣き崩れる。幼馴染であり戦友でもあったカーラを失った事は彼女の心に深く傷をつけたのである。フレイヤはエイルの背を擦り、慰めていた。
「そうか。エイリークはお役目を果たしたのか。」
エイリークの死を悲しむ。これでヴェストフォルの生き残りが一人となってしまったとハーラルもまた静かに涙を流す。
(やばいなぁ.......この雰囲気でこいつを紹介していいものか)
ジークフリートは後ろに控えさせているスキールニルを紹介するべきか迷う。下手をすればエイルとハーラルが暴走して襲い掛かるかも知れないのだ。
「ジークフリート、俺を紹介してくれ。」
スキールニルは構わないという。
「......少し落ち着いてからでもいいんだぞ?」
「いいや。今だからこそ意味があるんだ。」
ジークフリートは溜め息を吐き出し、トゥーレの玉座へと腰を下ろす。
「出払っているのはグローアとクリームヒルトだけか。良く集まってくれた。」
グローアとクリームヒルトは現在アルフヘイムの復興作業を先導して行っている。
「知っての通り、此度の侵攻でカーラとエイリークを失った。大切な同士を失った事は俺も辛い。だが、俺達が成すべき事は変わらない。世界の変革を行い、恒久的平和を作り上げる。死んでいった仲間達の為にも俺達は前進し続けなければならないんだ。」
ジークフリートは後ろに控えさせていたスキールニルへ前へと出るように支持する。
「仲間を失った悲しみは消えないだろう。だが、失った戦力は埋めなければならない。こいつはアルフヘイム国の英雄王スキールニル。新たに十解に加わることになった。そして、ヴァナヘイムの美姫、お前に十解の席をくれてやる。エイルの支えとなってくれ。」
スキールニル王の十解任命にエイルとハーラルは怒りを隠せずにいた。だが、己達が侵略行為をした末の結末故、認めざるを得ないのだ。
「ッ............あぁ、恨み続けても美しくない。神聖国の悲願の為に僕は僕の使命を果たす。スキールニル王、君達がエイリークを殺した事は許せない。だけど、僕達には君達を憎しむ権利はない。何故なら君こそが最も僕達を恨んでいる筈だからね。」
スキールニルは苦笑をする。
「俺はお前達を恨んでなどいないよ。臣民を殺されたのは俺が不甲斐ない王だっただけの話だ。俺が恨み責めるべきは俺自身。始めから服従さえしていれば神聖国もアルフヘイムも傷付かずにすんだんだ。」
エイルは涙を拭い、感服する。
「なるほど.........臣民に愛され、アルフヘイムを大国まで成長させた手腕。そして祖国を守らんと我らが十解の二人を冥界へと引き摺り落とした実力が貴殿の国にあったわけです。だから解せないのです。何故、世界蛇出現の際に兵を出兵させなかったのですか。」
「したさ。だけど、全滅した。蛇の被り物をした世界蛇の尖兵によって。魔帝以外に俺の国には精鋭がいないだろう。だから俺と魔帝も戦線に出陣しようとしたんだが王宮や国民に反対をされたんだ。」
なるほどとエイルは相槌を打つ。
「確かに貴方と魔帝がいなくなった場合、国力は大幅に低下し、瞬く間に他国に蹂躙されることになる。辻褄は確かに合いますね。」
互いの理解を得られ、何とか平和的に済みそうだ。
「さて__________お前達も知っての通り、最後の仕上げだ。」
俺の祖国でもあり、ブリュンヒルデやフロールフ、そして最強の勇者であるシグルドがいる強大な大国クラキ。




