警戒
アルフヘイムは大打撃を受け、復興作業へと精を出す。
王であるスキールニルは国民へ神聖国の傘下に下ることを通告したのだ。
「______________俺は神聖国王に未来を見た。元国民達よ、これまで俺について来てくれたことを感謝する。そして詫びよう。最後までお前達の王で在れなかったことを。」
国民達は涙を流す。英雄王とまで呼ばれたスキールニルでさえ神聖国には敵わなかった。そして七英雄の一人【魔帝】がこの戦いで滅びた事、アルフヘイム軍が壊滅した事で残った国民達は完全に戦意を喪失したのである。
「だが案ずる事はない。俺は神聖国、十解の席へ連なる事となった。そしてこの領地の統括を再任する事を命じられている。お前達に一切の危害が及ばない事を約束しよう。」
スキールニルの言葉を聞いた国民達は安堵の様子を浮かべ、スキールニル元国王へと感謝の言葉を投げるのであった。
「___________王様の貫禄あるだろ?」
スキールニルは城内へと戻り、ジークフリートへと話を掛ける。
「あぁ、王様が板についてるな。」
「アルフヘイムを一から立て直した実績があるからな。」
スキールニルもまたジークフリートと同じく幼少の頃より苦難と冒険を繰り返し現在の地位を得ている。決して楽ではない道のりであったことは言うまでもない。
「俺は廉太郎のいない世界に絶望していた。お前だけが俺の光だったんだ。今度は後悔しない選択肢を取る。前世で俺を守ってくれたように今度は俺が守る。この命に掛けてでも。だから大船に乗ったつもりでいてくれ。」
スキールニルはジークフリートの肩へと手を置き、安心しろと言う。
(鴉羽はいい奴だ。言葉の通り俺の為に死んでくれる覚悟と勇気がある。)
前世から鴉羽三三三は山田廉太郎に害する者に対しては容赦がない。もっともそれが原因で幼馴染である【夜桜雅】が暴走を起こし、両者は殺されたのであるのだが。
「.........スキールニル、一つだけ気に掛かることがある。」
スキールニルから笑みが消える。
「お前が言わんとしていることは分かっているよ。俺やお前が転生をしているってことは___________彼女もこの世界にいる可能性がある。」
夜桜雅。鴉羽三三三の幼馴染であり、ジークフリートとスキールニルの死因となった人物。
「俺はこの時代に生まれ落ちてから既に五十年以上の時が経ってる。」
「五十年!!?」
「あ、あれ、言ってなかったけ?半妖精だから寿命は純粋な人種よりも長いんだ。この容姿だって成長が止まってる訳じゃなくて肉体的に若いだけだぞ。」
前世で親友だったスキールニルが半世紀もこの時代で生きていたことに驚愕する。余談ではあるが、ニザヴェリルのドワーフとは違いエルフや妖精種は森の奥深くに住んでいる。
「話を戻すけど...........雅は多分、この世界にいる。だけど恐らく俺達の正体には気づいていないんだと思う。」
スキールニルはそう予測する。
「それは未来を視てそう言っているのか?」
「..............彼女を限定して視ようとすると情景がブレるんだ。それはお前にも該当する。」
異世界から転生した者の未来は見通せないとスキールニルは語る。
「ジークフリート、外を出歩く時は必ずエギルの兜を装備するんだ。顔を見られてはならない。」
夜桜雅に認知されてはならない。
「あぁ、分かってる。あの女は異常だ。」
この美貌に取り憑かれ、惹かれたあの女は最も危険度が高い。警戒を高めなければならない。




