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「.......................鴉羽三三三」


名前を呼ぶとスキールニル王は更に表情を緩ませ、ジークフリートへと抱きつく。


「会いたかった.......ずっと会いたかったんだ........廉太郎」


涙を浮かべるスキールニル。ジークフリートは彼の肩へと手を置き、尋ねる。


「鴉羽..........本当にお前なのか?」


スキールニルはこくりと頷き再び胸へと顔を埋めようとするが、ロキによりそれを制止される。


「不愉快だ。離れろ。」


ロキはスキールニルを引き剥がし、ジークフリートを守るように前へと立つ。


「せっかくの再開を邪魔するなよ........はぁ。まぁ時間はたっぷりあるんだ。ジークフリート、この国をお前に献上する。神聖国に対抗していた魔帝は死に、それに追随する勢力もお前が保有する剣帝と冒険王に滅ぼされた。アルフヘイムで反旗を起こそうとする者はもういない。」


スキールニルは膝を着き、頭を垂れる。


「ジークフリート、俺を軍下に加えてくれ。魔帝との戦闘で十解に空席が出来た筈だ。失った分の戦力は俺が埋める。」

「空席.......まさか、そんな...........」


ジークフリートは言葉を失う。アルフヘイムへ赴かせたのはカーラとエイリークだ。その二人は【魔帝】との戦闘で命を失ったとスキールニル王は言う。


(い、いや、スキールニルが嘘をついている可能性もある。)


ロキへと視線を向ける。だがロキは目を瞑り、顔を左右へと振った。


「___________大丈夫、俺は強いよ。お前を守れるようにここまで強くなった。今度は絶対に死なせない。この命はお前を生涯守るためにある。」


スキールニルの目は本気だった。目の前にいる少年は正真正銘、鴉羽三三三の魂を宿した王だ。


「な、ならなんで始めから降伏しなかったんだ!」


征服者が言うのもなんだが、国への損害を大きく防げた筈だ。それにカーラやエイリークを失わずにすんだ。


「.........俺は最初にそう提案したんだ。アルフヘイムは神聖国の傘下へと下ると。だけど、民はそれを是としなかった。ならば、分からせるしかあるまい。その身を持って己の選択が過ちであったと。」


鋭い眼光を覗かせる。


「まぁとは言え俺はそう提言したせいで魔帝や臣下達に閉じ込められたんだけどね。どうだった、俺の部下達。強くてしぶとかったろ?」

「あ、あぁ......ここまで辿り着くのに手間取った。」


事実、戦闘した全ての兵士達が「王の元へとは行かさん!」と鬼の形相で襲い掛かってきたのだ。こちらも本気で挑まなければ深傷を負っていたことだろう。


「ふふ、ジークフリートならここまで来ると信じていたよ。」

「口が回る奴だ。アルフヘイム城への到着を見越し、魔帝を十解とぶつけ死亡させた。そして十解の構成員二人の殺害にも成功する。君はジークフリートに害を為す者の駆除と神聖国の地位を同時に手にしたわけだ。自分の手を汚すことなく、ね。そこまでジークフリートに嫌われたくないのかい、英雄王?」

「あぁ。お前ほどじゃないにしろ、俺はジークフリートに嫌われたくない。だからこれ以上、俺の悪評をジークフリートの前で語らないでくれ__________________殺したくなる。」


凄まじい殺気にロキは冷や汗を流す。


(この男......ジークフリートへの執着心、本物だ。)


スキールニルがロキを殺しかねないと見兼ねたジークフリートはロキを下がらせ、スキールニルの元へと歩み寄る。


「やめろ、鴉羽。ロキは俺の大切な仲間だ。」

「スローライフ計画達成の"為"の大切な仲間(駒)だもんね。大丈夫、計画が完遂するまでは誰にも手は出して上げないよ。それと、鴉羽じゃなくて三三三って呼んでっていつも言ってるよね?」


ジークフリートは眉間に皺を寄せる。


(こいつ......どこまで知ってる?)


覚醒能力、魔具、又は異世界転生による恩恵を受けているのか?


「鴉羽.......いいや、スキールニル。お前はこの世界の正体を「スキールニルかぁ......まぁそれもこの世界の名前だしいいけどさ。質問に答えるとYESでもあり、NOでもある。」


スキールニルは立ち上がり語り始める。


「単直に言うと俺が知り得ているのはアニメ二期迄の内容だけだ。」


乙女ゲー「ニーベルンゲンの災い<恋の先にある北欧伝説>」を原作としたアニメの二期と言えば、道化師ロキが倒され【ラグナロクの再来】が引き起こされる迄の内容だ。


「原作も未プレイだから事細かな設定は俺には分からないよ。」


ジークフリートはスキールニルが同程度の原作知識量しか持ち合わせていない事を理解する。


「ちなみにそこの道化師は覚醒能力で廉太郎の記憶を覗き見ているだろうから知識としては知っているだろうけど、ゲームと言う媒介を通しての架空の世界であることは理解出来ていないだろうね。ジークフリート、俺は有用だよ。お前の事を最も理解している。お前が何を成し遂げ、何処へ向かおうとしているのかも。適切な距離感も俺なら取れる。お前の嫌がることは極力しないと約束しよう。」


ジークフリートは鎧の下で小さく笑う。


(お前はそう言う奴だったな。づけづけと距離を詰めてくるが、しっかりとラインを敷いている。だからお前といる時間は居心地が良かったのかも知れない。)


ロキは心配とした様子でジークフリートを伺う。だが、ジークフリートの視線はスキールニルだけを見つめていた。


「スキールニル、十解の一員になるにあたって能力の開示を要求する。」


スキールニルは強い。十解に率いれても遜色ない戦闘力を持ち合わせている。それに頭も回る。こいつはロキと同格かそれ以上の人材だ。


「構わない。その代わり、ジークフリートのこれまでの物語を俺に聞かせておくれ。」

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