クリームヒルトの哀情
何故見つからない。
お前が死ぬわけがない。お前は私の伴侶だろ。早く戻ってこい。私には分かるんだ。お前が生きていること。
「クリームヒルト、おはよう。」
「クラキ殿下、おはようございます。」
フロールフ・クラキ王太子殿下。クラキ王国次期国王にして私の許嫁。
「殿下はよしてくれないか、クリームヒルト。昔みたいにフロールフと呼んでくれると嬉しい。」
「........失礼しました、クラキ"先輩"。」
こいつは昔からの馴染みだ。幼少の頃はよく遊んだ。仲は決して悪くない。むしろ私の数少ない友人の一人でもある。
「はは、いじわるだな、クリームヒルトは。」
フロールフは苦笑を見せる。
(私には眩しい......フロールフの存在が。ただ誰に対しても優しく仁義に熱い。王としての器が育ってきている証拠だ。仮に私がこの男と結ばれれば、私が国の影を担い、クラキ国を不動の大国へと導くだろう。)
ジークフリートにあっていなければ大陸の統一を目指していた。フロールフを傀儡としてな。けれど今はどうでもいい。私にはジークフリートが必要だ。
(あの社交界から始まり、私たちは愛を育んだ。恋しいよ、おまえが。何故、私の元から去ったんだ。)
侯爵家の者から死んだと聞いているが、私は信じない。信じたくはないのだ。
「今日の昼食、一緒にどうかな?」
「...............ご命令とあらば。」
どこにいる。早く戻ってこい。私は寂しいんだ。寂しい兎は死んでしまう。構え。甘えさせろ。一人にするな。
「そうか、君はまだ........」
フロールフがボソリと呟く。私にはどうでもいいことだ。昼食のサンドイッチを口に含み、ウルズの泉を眺める。
「そういえば一年生にジークフリートって名前の従者がいた気がするけれど.....すまない、失言だったね。」
ジークフリート。そう、私の人生は全てジークフリートに捧げ、捧がれるものでなければならないのだ。待て、フロールフは何と言った?
「フロールフ.........今なんと言った?」
「やっと名前で呼んで「今なんと言ったと言ったんだ?」う、うん.....今年の一年生にジークフリートと言う従者が一人いてね、つい先週のことかな、ベルン家の子息に決闘を申し込んで勝ったて噂を聞いたんだ。」
先週.....闘技場でのあの騒ぎ。
「「聖女」の従者と聞いたよ。彼女は確か辺境の出身で、平民出と聞くけど冒険者の従者を連れていたんだ。僕も入学日前日に会ってね、愉快な子達だったよ。」
辺境出身。冒険者。名前はジークフリート。
「あ、あれ、どうしたのクリームヒルト?」
突然と立ち上がるクリームヒルトに驚くフロールフ。
「クラキ"先輩"。私はここで失礼する。」
同クラスメイトである「a」組のブリュンヒルデ、聖女に会わなければ。そして確かめなければならない。
「ジークフリート.......おまえなのか?」




