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勇者は最強で在らねばならない

ルーン魔術による火炎は周囲一帯を言霊使い(元賢者)ごと焼き焦がす。出力が並みではない勇者の魔術に五人の死骸は警戒度を羽上げる。


「言霊使い(元賢者).............」


彼女の覚醒能力は言霊を使い、相手の動きを支配することにある。そしてルーン魔術による肉体強化を用いて攻撃に転じる。だが、勇者には直ぐに対応され焼却されてしまった。


「.......面白ぇ!!!」


鈎爪使い(元英雄)が先行して勇者へと襲い掛かる。鈎爪による鋭い一撃が勇者の頬をかする。シグルドは身体を回転させ、裏拳を鈎爪使いの顔面へぶち当てる。


「うぐっ、ってぇなぁああああ!!!!」

「____________________覚醒能力は使わせない。」


反撃を行おうと前に足を踏み出すが、シグルドの一刀により両腕を切断されてしまう。


「くっ!!」

「貴方は後方に下がりなさい!!」


美髪姫は止めをさそうとするシグルドの腕を髪で止める。


「_____________その程度の力で私を止められると思わない事だ。」


勇者は髪を掴み、美髪姫を引き寄せる。


「グラム=バルムンク」ザァン

「う.........そ..........」


美髪姫は一刀両断され、肉体が左右へと別れてしまう。


「__________って速度してやがるッ!!」


そして、後退しようとする鈎爪使いの背後へと周り込み、胸部へと剣を突き刺した。


「終わりだ。」


魔剣に魔力を流し込むことで刀身から魔力爆発を引き起こし、鈎爪使いの上半身は爆散する。残った下半身は地面へと沈み、機能を停止させた。


「残ったのは君達二人だね。」


シグルドは残った二人へと視線を向けつつも美髪姫と鈎爪使いを火炎魔術で復活しないように完全に焼却する。


(この男.........化物か)


勇者はジークフリート達との戦いから学んだのである。圧倒的な強さにかまけず最初から全力で敵を屠るべきであると。さすれば勇者に『敗北』と言う二文字はない。


(...........あの魔剣を防ぐ術を俺たちは持ち合わせていない。)


無敵艦隊(元覇王)は格闘家(元勇者)へと目を向ける。


「..............」


無言で目を瞑り、腕を組む格闘家。しかし表情は何処か柔らかで嬉しそうに頬を緩ませる。


(何を考えている、元勇者...........相手は元七英雄三名を瞬殺した正真正銘の化物だぞ。)


余裕などない。本来の目的である時間稼ぎすら達成出来そうもない。


「おめぇ、バカかぁ?何弱気の表情見せてんだ!そんでも元七英雄の一人かぁ、おめぇ...........」


カッと目を見開き、無敵艦隊に対し渇を入れる。


「................覚醒能力でオラと勇者だけのふぃーるどつくれぇ。そんでオラがさしで勝負する。逃げたきゃ勝手に逃げろ。それくらいの時間なら稼げる。」


元勇者は両拳を打ち付け、勇者のシグルドの前へと立ちはだかる。


(かっこつけやがって。)


無敵艦隊(元覇王)の覚醒能力。簡潔に説明するならばレギンの司る職業適性「魔法砲手」の上位互換である。


(単装砲塔10基10門を用いての爆撃が可能。そして覚醒能力として二つの超巨大主砲を展開し地形を変えられる。)


しかし、二つの超巨大主砲を使用した場合、レギンと同じく魔力切れで一日は目を覚まさなくなる。故に近接戦闘には向かないのだ。


「_______________お前の為のフィールドを用意してやる。」


覚醒能力はまだ使用しない。単装砲塔にてシグルドと格闘家の周囲を爆撃し、彼らだけを囲むフィールドを構築する。


「私と君を隔離した戦場を用意したかったのだろうが、無意味な事だ。直ぐに決着はつく。それと__________」


シグルドは剣を上段に構え、縦へと振るう。


「___________は、い?」


勇者や格闘家からかなり距離が離れていた筈の無敵艦隊が切断された。それも綺麗に胴体が真っ二つへ。


「グラム=バルムンクは如何なるものも切断する。それは刀身だけに限らず、使用者の視界に映るもの全てに、だ。」


故に距離が離れていようがいまいが視界にさえ入れば関係ないのだ。


「おめぇ.........チートだろぉ」


格闘家は勇者の性能に苦笑をするしかない。だが、闘志はまだ消えていない。


「世界を守る【勇者】が弱くては困るだろう。」

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